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政治に人工知能を!ポリテックの時代が幕をあける

政治に人工知能を!ポリテックの時代が幕をあける

スキャンダルで前に進まない日本の国会

現代の日本において最大の問題と言えるのは教育(子育て)と高齢者福祉です。そして、それらを支えるための経済政策と外交でしょう。しかし、これらの重要な課題が国会で議論されているとは思えません。国会の貴重な時間のほとんどがスキャンダルの追求などに使われています。

船底に大穴が空いているのに、船頭たちは、お互いの服をけなしあっているようなものです。スキャンダルへの対応も大事ですが、それは国会の場外でやってもらいたいところです。テレビで厳しい追求をしているところを見せれば支持率が上がったりはしません。むしろパワハラとして評価を下げているくらいでしょう。

議員の評価として、まず、どの課題のために、どれだけの時間を使ったのかを問いたいです。この中身が教育や高齢者福祉、経済政策や外交でないという議員の存在意義はなんでしょうか。いまいちど、政治がなんのために存在するのかを思い直し、大きな改革が必要だと思います。

政治の世界に人工知能を導入すべきではないか?

まず、日本の課題をリスト化して、それぞれの課題が解決された場合のインパクトをきちんと評価したいです。その上で、国民が、どの課題の解決を望むのかをネットを通して国民投票しつつ、議員がどの課題にどれだけのリソースを割くべきなのかを、国民が決めたほうがよいでしょう。

とにかく、スマホから簡単に国民投票ができるようになるだけで、日本の意思決定速度は早まるはずです。日本には様々な問題がありますが、どうしても、現状の国会のありかたで日本が良い方向に変化していくようには感じられません。そうした中、小泉進次郎氏が次のような発言を行っています(朝日新聞, 2018年4月29日)。

今までの政治家の必須分野は外交・防衛、税制、社会保障、経済だったが、これに加えてテクノロジーのインパクトを理解しないといけない時代になった。

ポリティック(政治)とテクノロジー(を掛け合わせた造語)で「ポリテック」。「テクノロジーで何ができるのか」という観点を政治・行政の中に確実に入れ込んでいきたい。

国民の皆さんに求める税負担も今より必ず減らすことができるし、激変する国際情勢のなかで政策決定や執行のスピードも劇的に変わる。(後略)

ワイドショー政治からの卒業が急務

とにかく、ワイドショー政治から脱却しないと、日本の課題は解決されません。ワイドショー(野次馬番組)としては、スキャンダル(喧嘩)があったほうが視聴率が稼げるし、コメントも「困ったものです」で問題ないため、コメンテーターも楽ができるわけです。しかしそれでは、日本の未来がダメになってしまいます。

まずは、政治家の時間を含めたリソースの使い方を見える化してもらいたいです。それで、本当に重要なことではなく、不思議な飲み会や挨拶回り、そしてスキャンダルの追求にばかり時間を使っている議員はすぐにわかります。逆に、ワイドショーでは目立たなくても、本当によい働きをしている議員もまた明らかになるでしょう。

もはや、日本に残されている時間は多くはありません。高齢者が、道端でゴロゴロ死んでいるような未来は、すぐそこまで来ています。そうした状況にあってもなお、実際にそうした悲惨な状況を目にしないと動けないのは、一般人であれば仕方がないところもあります。しかし、政治家までがそうであるなら、絶望的です。

介護の現場近くにいると、この国の近未来に起こる悲惨な状況が容易に想像できます。しかし介護というのは、まだ日本ではそれを必要とする人も、サービスとして提供する人も、全人口からすれば少数派なのです。そして少数派の意見は、かなり無理をしないと通らないのが民主主義の限界でもあります。

しかし、介護を必要とする人や、それをサービスとして提供する人というのは、今後、劇的に増えていくのです。将来的には、多数の人がなんらかの形で介護に関わることになります。しかし、そのときになってから「どうしてこんな状態なんだ」と叫んでも遅いのです。いまこそ、政治にも大きな変化を求めたいところなのです。

※参考文献
・朝日新聞, 『政治家の必須分野「今日からポリテック」 小泉進次郎氏』, 2018年4月29日

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