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人生100年時代の到来は幸福なことなのか?

人生100年時代の到来は幸福なことなのか?

2050年には100歳以上の高齢者が100万人を突破する

昨年の2017年は、日本における100歳以上の高齢者は約7万人でした。現在68歳の高齢者が、2050年には100歳になります。そしてこうした高齢者が、2050年には100万人を突破すると考えられています。

人生100年時代の到来というと、なんだか不思議な感じもするかもしれません。しかし、この未来は確実にやってきます。最近は「長生きするリスク」という言葉も定着してきましたが、そうしたリスクを背負う人が多数出現するのです。

あくまでもイメージですが、少なからぬ人は、心のどこかで「自分の人生は80年くらいかな」と考えてきたのではないでしょうか。しかし、このイメージはかなり不正確なものになりつつあるのです。

定年退職して年金暮らし?

ひと昔前であれば、老後は、定年退職をして年金暮らしという常識があったでしょう。しかしこれも、人生100年時代ともなると、維持することはできなくなります。なにせ人生100年時代には、70歳で定年したとしても、まだ30年もの人生が残されています。

30年もの期間、退職金と年金だけで暮らしていくことは、大多数の高齢者にとって危険すぎます。人生80年時代の話であれば、70歳で定年退職したとして10年程度の期間の蓄えがあればなんとかなります。しかし30年も仕事からの収入なしで暮らせるほど資産を現役時代に積み上げられる人は少数派のはずです。

そもそも年金の支給開始年齢は徐々に上がってきています。また、年金の支給額は徐々に下がってきています。そして、健康保険組合などの解散も増えてきており、病気をしたときに必要となる費用も大きくなってきています。さらに、医療や介護の利用料(自己負担部分)の割合もまた増えてきているのです。

人口減少と少子高齢化によって衰退をはじめる日本において、30年もの期間、仕事をしないで十分な収入が確保できるとは思えません。仮にお金が足りなくなって生活保護ということになったとしても、生活保護の支給金額もまた減らされてきているのです。

仕事はあるのだろうか?

高齢者になっても働き続けることは、決して悪いことではありません。むしろ、仕事を通して社会とつながり続けることは、心身の健康にとって良い影響も多く、介護予防としての意味さえあります。

むしろ問題は、今後も仕事はあるのかという部分です。シルバー人材の活用は、現在、活況を極めています。背景になっているのは、労働人口の縮小と好景気です。しかし今後も同じ状況が続くかというと、残念ながら、そんなことはなさそうなのです。

人工知能が、人間から仕事を奪い始める可能性が高いからです。それが10年後のことなのか、50年後のことなのかは不明です。しかし、大手銀行や郵便局における巨大なリストラのニュースが示すとおり、人間を必要としない自動化の流れは確実に強まってきています。

働ける場があれば、今後の高齢者は、生涯現役で頑張ることができます。しかし、働ける場が減っていくことになれば「長生きするリスク」はどんどん大きくなり、人生の晩年というものが、一般論として悲惨なものになってしまいます。

※参考文献
・マネーポストWEB, 『2050年に100歳超が100万人に 年金と退職金でなんとかなる時代ではない』, 2018年4月26日

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