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特に日本においてニュータウンと呼ぶ場合は、日本の高度成長期に、都市部に集中してしまう人口を郊外に分散させるために作られた町のことを指します。法的には、新住宅市街地開発法(1963年)に従っていることが前提ではありますが、実質的には、この法律に準拠していなくても、ニュータウンと言える町は多数存在しています。
こうしたニュータウンの開発は、公的機関(地方公共団体や旧都市基盤整備公団など)が主導したものと、民間企業が主導したものがあります。もともとは、そこに町があったわけではないことがほとんどのため、鉄道やバスなどが、それに合わせて整備されたのです。
このニュータウンによって、日本の高度成長期は、大きな成果をあげました。しかし、今、ニュータウンが高齢化に苦しみはじめています。日本全体の高齢化よりも、ニュータウンにおける高齢化のほうが深刻という話があるのです。以下、朝日新聞の記事(2017年12月3日)より、一部引用します。
「ニュータウン」が都市郊外に生まれて半世紀余り。朝日新聞が、新住宅市街地開発法に基づく国内46カ所のニュータウンを調査したところ、6割のニュータウンで65歳以上の単身世帯の割合が全国平均を上回った。(中略)
2015年国勢調査で比べると、高齢の単身世帯の割合は、全国平均が11・1%だが、ニュータウンは27カ所で上回った。神戸市と兵庫県明石市にまたがる明石舞子団地(25%)など7カ所で20%を超えた。(中略)
ニュータウンの住民は多くが核家族で、住み始めた時期や年齢、収入が似ている。町並みは均一的でプライバシー性も極めて高い。子が独立し、夫婦のいずれかが他界すると、待っているのは孤立だ。(後略)
とにかく、ニュータウンに求められたのは、働き盛りの世代を大量に吸収し、日本の経済発展を支えるというものでした。これが同世代の一斉入居、子供の一斉流出、一斉高齢化という、極端で危険な連動性の背景になっています。
当然ながら、ニュータウンの老朽化も激しくなってきていますし、バリアフリー化は進んでいません。しかし、人口の流出が大きいため、商業施設は遊休化し、学校なども統廃合からの廃校が増えてきています。そうした町が、新たな住民を惹きつけるのは困難です。
こうしたニュータウンから都市部への交通機関は、ニュータウンの建設に合わせて新たに設置されたケースも多く、運賃なども高額になる傾向があります。そうなると、あらたに住民を惹きつけることはもちろん、住民のちょっとした外出でさえ難しくなっていくでしょう。
過疎化は、いわゆる田舎だけの問題ではなく、こうした都市部の郊外においても深刻な問題になっているのです。そうした問題の上に、いよいよ介護が乗ってきています。高齢化の速度が著しいニュータウンでは、買い物難民が多数生まれるのはもちろん、介護の人手不足もまた懸念されているのです。
こうした状態は、いずれ、日本全国で見られるようになっていくものです。しかし、先に高齢化が深刻化しているニュータウンにおいては、いわゆる2025年問題が、他の地域よりも早く訪れる可能性があるのです。しかも、その度合いは、日本全国の2025年問題よりも大きくなる可能性さえあります。
ニュータウンにおける自治会には、歴史もありません。古くからのつながりもなく、孤独になりやすい環境ができてしまっています。地元愛という意味でも微妙で、古くからある商店街が地域活性化に取り組むといったことも少ないでしょう。
人口都市であるニュータウンは、いよいよ、その社会的な役割を終えようとしています。問題は、そこで暮らしてきた人々の生活です。日本の成長を支えてきた人々の結果が、人口都市ならではの悲惨になってしまえば、なんともやりきれません。しかし、そうしたニュータウンを救うための予算は、今後、どこからも出てこないのです。
※参考文献
・朝日新聞, 『老いゆくニュータウン、6割で高齢単身化 朝日新聞調査』, 2017年12月3日
・国土交通省, 『都市郊外部のニュータウンの抱える課題』
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