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恋愛・男女交際へのスタンスの調査(15~24歳の未婚者)では、消極的な男性は約7割で、そもそも「興味がない」という約1割まで含めると、全体の約8割が「草食系」ということになりました。
生物である限り、本能レベルでは、自分にも相手があることを望んでいます。そう考えると、大多数の人は、自分がだれかに選ばれることを「待っている」ということになります。それが良い悪いということではなく、事実として、そうした状態にあるということです。
これを少しむりやり拡大解釈すると、自分の将来について「こうしたい」ということを考えて方向性を持っている人は少数派かもしれないということです。むしろ大多数は「良いことがあるといいな」というスタンスで、自分になにかポジティブなことがあるのを「待っている」のかもしれません。
要介護状態になり、要介護認定を受けると、ケアプランに沿った介護が実施されることになります。このとき、非常に大事になるのが、ケアプランにおける目標です。たとえば「もう一度、旅行に行きたい」といった目標があれば、それに向かってリハビリなどのケアプランが設計されます。
しかし、少なからぬケアマネージャー(ケアプラン作成を支援する)は、要介護者が自ら目標を設定することができないと嘆きます。もちろんプロですから、ケアマネージャーは、そうした要介護者から目標を引き出すために、様々な努力をしています。
ただ、そもそも、自分からこうした目標を考えるということは、むしろ多くの人にとって自然なことではないのかもしれません。その場合、根本的なところで、ケアプランの設計の仕方を変えないとならないかもしれません。
その人らしい目標(その人の幸福につながる目標)というのは、実は、その全てを自分で決めることにストレスを感じる人が大多数という可能性があります。そう考え直してみると、大事なのは「複数の悪くない目標から選んでもらう」ということになります。
この考察にいくばくかの真実がある場合、ケアマネージャーの仕事は、その人らしい目標を複数準備するということになります。しかしそのためには、要介護者になった人が、要介護者になる前には、どのような人生を送ってきたのかという密度の濃い情報が必要になるでしょう。
実際に、熟練のケアマネージャーたちは、こうした情報を丁寧に集め、時間をかけてでも優れたケアプランを書こうとします。ただ、どうしても困難になるのが、要介護者に認知症の症状が見られる場合です。意思の疎通が困難なので、本人から情報を聞き出すことがほとんどできないからです。
親が認知症になる可能性は、非常に高いと考えておく必要があります。しかし、親元を離れたあと、親がどのような人生を送ったのかということを正しく把握している人というのは、それほど多くはないでしょう。親の友達の名前と連絡先や、親が行きつけにしているお店など、把握しているでしょうか。
こうした情報を、家族が十分に把握してくれている場合は、ケアマネージャーとしても、より、その人らしい目標に向けたケアプランを考えることが可能になります。しかし、多くの家族は、実際に介護が必要になるまで、そうした情報が重要になるという認識を持っていないものです。
少しずつになっても、家族のことをできるだけ理解しておくことは、将来の介護をよりよいものにするために大事なのです。なんとか、多くの家族が、お互いについて関心を持っていくような流れができると良いのですが・・・
※参考文献
・東洋経済, 『若者にとって「草食男子」はむしろ褒め言葉だ』, 2017年7月29日
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