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総務省は昨日、敬老の日を迎えるに当たって、日本の高齢者に関する状況を発表しています。すでに、日本における高齢者の割合は世界最高であることは広く知られている事実です。今回の発表でも、総人口に占める高齢者の割合は27.7%となり、過去最高を更新しました。
全体としては、総人口は昨年から1年で21万人減少しているのですが、高齢者は57万人増加しています。特に、人口統計を取り始めて以来はじめて、90歳以上の高齢者の人口が200万人を超えた(206万人)ことが、TVなどでも話題として取り上げられています。
介護という視点からは、70歳以上の人口が2,519万人(総人口の19.9%)となっている部分が気になります。日本では、75歳を超えると、要介護状態になる人(要介護出現率)が急激に増えることが知られているからです。
65歳以上の高齢者を男女別にみると、男性は1,525万人、女性は1,988万人となっています。女性のほうが、男性より463万人多いということです。65歳未満の世代においては、男性のほうが女性よりも多いことと合わせて考えると、女性の長寿が際立っていることがわかります。
各都道府県における人口の移動を測定する指標としては、転入・転出超過数が知られています。転入超過とは、都道府県外から流入してきた人口のほうが多い場合の言葉です。逆に、転出超過とは、流出のほうが多いときに使われる言葉になります。
高齢者で見ると、流出がもっとも多い(転出超過数が最大)のは、東京都の6,132人でした。これに対して、高齢者の流入がもっとも多かったのは埼玉県の2,605人でした。埼玉県に次いで多かったのは、千葉県の1,967人、茨城県の1,008人でした。
若者にとっては魅力的に感じられる東京は、高齢者になると様々な理由から暮らしにくいところになるようです。今後、ますますの高齢化によって現役世代の人口が減っていくことを考えると、東京であっても徐々に衰退していく局面に入っていることが伺えます。
高齢者の就業者数は770万人と過去最多となりました。これは、日本の就業者総数の11.9%になり、この面からも過去最高の数字になっています。高齢者の就業率を男女別に見ると、男性が30.9%なのに対して女性は15.8%でした。高齢者の女性は、家庭内労働に従事しているケースのほうが多いのでしょう。
高齢者の雇用形態については、非正規労働者が全体の75.1%と大多数になっています。10年前と比較して、高齢者の非正規労働者は約2.5倍にまで増えています。それほどの規模ではないものの、高齢者の正規雇用も増えており、ここには希望も感じられます。
高齢者の就業率という部分だけを切り出すと、日本の22.3%という数字は、アメリカの18.6%、カナダの13.1%、イギリスの10.6&などと比較しても、主要国では最高になります。世界でもっとも高齢化する日本の中で、高齢者たちも頑張っているということでしょう。
同発表では、高齢者世帯の消費支出が、65歳未満(高齢者ではない世帯)と比較されています。保険医療が1.69倍ともっとも高くなり、健康の維持・増進のための消費が大きいという部分は予想通りでしょう。
高齢者世帯が、その他の世帯よりも多く消費しているのは、光熱・水道(1.23倍)、食料(1.16倍)、家具・家事用品(1.11倍)、教養娯楽(1.04倍)でした。逆に消費が少ないのは、住居(0.95倍)、被服および履物(0.70倍)だったのですが、子育てが終了しているため教育(0.03倍)が際立って低い点には注目したいところです。
高齢者のネットショッピングの利用割合は14.3%と、10年前の約2.9倍にまで成長しています。この中では旅行関係費が23.4%と最高で、次いで食料が16.0%になっています。65歳未満の世帯と比較した場合は、やはり、医薬品・健康食品(1.68倍)の購買にネットショッピングが活用されていることがわかります。
※参考文献
・総務省統計局, 『統計からみた我が国の高齢者(65歳以上) -「敬老の日」にちなんで-』, 2017年9月17日
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