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介護保険の説明資料、4ヶ国語で作成(栃木市)

介護保険の説明資料、4ヶ国語で作成(栃木市)

日本に居住する外国人は238万人を突破している

日本で暮らす外国人は、すでに238万人を突破しています。このうち、アジアからの人が約197万人とその大半をしめています。中国からがもっとも多く約70万人、次が韓国で約45万人、フィリピンは約24万人で、ベトナムが約20万人となっています(法務省, 2016年12月末)。

こうして日本に居住する外国人の高齢者も増えてきています。外国人も、日本で税金と介護保険料を支払っている限りにおいて、介護保険による介護サービスを利用する権利があります。そうした外国人向けに、介護保険に関する説明資料が栃木市で作成されました。以下、日経新聞の記事(2017年9月7日)より、一部引用します。

栃木県栃木市は、外国人住民向けに介護保険制度を紹介する冊子を作成する。外国人労働者が家族連れで定住したり、高齢になったりする事例が増え、介護保険の利用増が見込まれるため。

表記を易しくした日本語の冊子のほか、英語、中国語など4カ国語で作り、9月末に完成予定。神奈川県での事例を参考に作成したもので、栃木県内の市町では初めてという。(後略)

ここで準備されているのは、英語版、中国語版、スペイン語版、ネパール語版とのことです。栃木市の外国人高齢者の国籍構成によって判断されたと思われますが、この偏りは少し気になりますね。とにかく今後は、日本全国で、こうした動きが広がっていくことでしょう。

外国語で対応できる介護事業者も増えていく

すでに、厚生労働省が『中国語の対応が可能な介護事業所一覧(平成29年3月31日時点)』(PDF)という資料を出していますが、今後は、外国語での介護ができる介護事業者もまた増えていくと考えられます。

日本は、世界でもっとも高齢化している国です。介護サービスも、今後は、世界でもっとも発展していく可能性が高いでしょう。特にアジア圏だけで考えれば、圧倒的なレベルで介護に強い国になるのは明らかです。ただしそのためには、増税などで財源をなんとかしないとなりません。

とにかく、介護へのニーズは、日本におけるものが、世界に先駆けて高まっていきます。日本の介護を経験する外国人もまた増えていきます。そうした外国人は、母国語で日本の介護について発信してくれるはずです。その中身がよければ、日本の介護は世界に輸出できるようになっていきます。

これをチャンスにできるのか?

「満足した顧客こそ、最高の営業マン」と言います。日本の介護を成長産業として位置づけ、国策としてより多くのリソースをつぎ込んでいくことが大切なはずです。しかし、介護業界は国内ではダントツで待遇が最下位の業界であり、そこに使われる国のリソースもまた減らされてきています。

混合介護から市場の原理を導入するか、または、介護職を公務員化するなど、抜本的な対応が必要です。このピンチには、チャンスもあります。しかし、そのチャンスが掴めないとするなら、ただどこまでも悲惨な未来が待っているだけなのです。

すべては、介護職の待遇の改善からです。これに成功しなければ、私たちの未来は間違いなく暗いものになります。いざ、自分や自分の愛する人に介護が必要になってから嘆いても遅いのです。是非とも、国会では、介護職の待遇改善についての議論を深めてもらいたいです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『外国人住民向け介護保険冊子 栃木市、4カ国語作成』, 2017年9月7日
・法務省, 『在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表』, 2016年12月末

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