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日本は、世界でもっとも高齢化が進んでいる国です。日本の平均年齢は46歳を超えており、今後もしばらくは、高齢化においてはトップを独走する見込みです。ただ、こうした話だけだと、日本のピンチばかりが強調されてしまいます。
しかし、ピンチはチャンスでもあります。高齢化が進んでいる日本では、高齢者向けのサービスが充実していくことになります。それを後から、世界中の国々が追いかけてくるのです。であれば、日本で生まれた高齢者向けのサービスは、世界中に輸出できるようになっていくはずなのです。
そうした中、日本の介護技術を学びに、世界から、外国人が日本を訪れ始めています。日本を訪れる外国人が増えるだけでも、日本にとっては、大きな経済効果があります。以下、読売新聞の記事(2017年6月15日)より、一部引用します。
日本の介護技術を学んで母国の医療現場で役立てようと、ベトナムの看護師たちが高松市の特別養護老人ホーム「あかね」を訪れ、約1か月間にわたり研修を受けた。同国でも今後は高齢者の増加が見込まれることから、介護技術の向上が課題になっているという。同ホームは「ベトナムで介護技術の指導者となる人材を育てたい」とする。(中略)
同ホームは2014年からベトナムの医療機関と交流を続け、相互に視察団を受け入れるなどしている。研修生を受け入れるのは今回が初めてで、5月1~26日、ベトナム南部のホーチミン市にある国の直轄病院「トンニャット病院」からガンさんのほか、看護師長のリー・キュー・チンさん(45)、若手のグエン・ティー・ゴック・ザオさん(24)の3人を招いた。(中略)
ベッドから車椅子に移すなど、寝ている相手を起こす動作では、まず相手の手足を出来るだけ小さくまとめ、お尻を支点に肩と膝を支えながら相手の頭が弧を描くように持ち上げる。電動ベッドでなくても、少ない力で動かせるよう考えられており、チンさんは「日本の介護は、ちょっとした動作でもなるべく相手に負担をかけないよう考えられている。帰国したら看護師教育に役立てたい」と話した。(後略)
こうしたトレーニングは重要です。同時に、トレーニングの教材にできるのは、あくまでも、言語化できている介護技術に限られます。しかし介護技術の中には、言語化することが難しいもの(暗黙知)も多数あります。現場で、身体に染み込ませるようにしてしか得られない介護技術があるのです。
そうした、言語化できない介護技術は、人工知能やロボットに移植することもできません。このような知恵(暗黙知)は、最後まで、介護職という人間の中にしか蓄積されていかない価値として、残り続けていくものと思われます(100年後はわかりませんが)。
ということは、日本の介護職はいずれ、世界中から求められる時代がくるということです。世界には、介護保険制度のないところも多数あります。そうしたところでは、介護職の給与は市場原理によって決められます。そのときこそ、介護職の価値は正しく評価され、いまの日本のような、不当に悪い待遇は大幅に改善されるはずです。
いまのところは、介護職を目指す外国人が日本語を学んでいます。しかし遠くない将来、日本の介護職が英語や中国語を学び、世界に打って出る時代になっていくものと信じています。KAIGO LAB は、そうした流れを応援していきたいと思っています。
※参考文献
・読売新聞, 『日本の介護 ベトナムに』, 2017年6月15日
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