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人間も生物ですから、抜きがたく性差というものが存在しています。男性と女性で差別があってはなりませんが、同時に、男性と女性は違うのです。そうした違いは、とくに、介護の現場では強調されて出てきます。
過去にも、男性介護に関する記事をアップしたり、男性介護についての講演をしたりもしてきました。今回はまた、男性について、ひとつ考えてみます。
男性の健康管理には、とにかく、他の男性と競わせればいい可能性があるようです。ある意味で、男性は単純ですね・・・。以下、朝日新聞の記事(2017年4月19日)より、一部引用します(改行位置のみ、KAIGO LAB にて修正)。
SNSで友人のジョギングの記録を見ると、自分も走る距離やスピードが増す――。米マサチューセッツ工科大(MIT)のチームが分析したところ、こんな傾向がわかった。(中略)
研究グループは、フェイスブックやツイッターなどのSNSには、腕などに付けた端末で測ったジョギングの距離や速さなどが記録されていることに着目。公開されている約110万人分の記録を調べた。
SNSの影響は、友人が自分と同性の場合の方が強く、男性はその傾向がさらに顕著だった。一方、女性は男性の友人のSNSを見ても、全く影響されなかったという。
男性の場合、親の介護をする介護者としては、相談できない、抱え込む、完璧を目指すといった課題があります。逆に、介護される要介護者としての男性は、デイサービスに行ってくれない、ヘルパーが家に入るのを嫌がる、介護されること自体を拒むといった課題があります。
介護者としての男性は、最悪の場合、虐待や介護殺人にまで至ってしまいます。要介護者としての男性が、介護にオープンでないと、家族がかなり苦労します。そこからまた、虐待や介護殺人が生まれてしまうこともあります。
こうした状況は、想像以上にたくさんあります。当事者やそれに近い立場であれば、いかにこの男性介護の問題が大きいのか認識しやすいのですが、一般には認識は進んでいません。男性と女性の性差について、正面から扱いにくいという時代背景も、この邪魔をしています。
こうした男性特有の難しさは、今回の発見によって(少しは)緩和される可能性があります。つまり、男性は、競争環境にあれば、女性よりもむしろ頑張れるということです。親の介護でも、介護される場合でも、男性は、明確な競争環境が設定されれば、課題を改善できるかもしれないのです。
たとえば、友人の誰かが、SNSで介護について弱音を吐いていたりするのを見れば、自分も相談しやすくなるかもしれません。SNSで、友人の誰かが、プロの介護職の支援によってイキイキとしている姿を見れば、介護サービスを受けてみようという気持ちにもなるでしょう。
これはなにも、SNSでなくても構わないはずです。家族会(セルフ・ヘルプ・グループ)が持っている力も、今回の発見によって、あらためて強調されてきます。RUN伴の活動もまた、その意味が深く理解できます。
「介護は、はずかしいことじゃないんだ」「多少、いい加減なのが当たり前なんだ」「男性でも、弱さを見せてもいいんだ」という環境がないと、どこまでも強がってしまうのが男性なのかもしれません。日本社会を、そうした環境にしていくことに、介護業界は一丸となって頑張っていくべきでしょう。
※参考文献
・朝日新聞, 『友人のSNSに影響され、走る距離増 男性に顕著な傾向』, 2017年4月19日
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