KAIGOLABの最新情報をお届けします。
高齢者による自動車の運転事故に注目が集まっています。気をつけておきたいのは、高齢者ひとりあたりの運転事故が増えているというわけではない点です。とはいえ、全体の運転事故における高齢者ドライバーの割合は増えています。高齢者のほうが運転リスクが高いというところは、事実です。
こうした中、Responseが、年齢階層別の、自分の運転に関する自信について報道(2017年3月7日)しています。以下、この報道にあった調査結果をグラフ化したものを示します。このグラフからは、高齢者のほうが運転リスクが高いにもかかわらず、それが自覚されていないことがわかります。
おそらくは、長年運転してきて、ずっと無事故だったりする高齢者も多いのだと思われます。しかし当然のことなのですが、過去に事故を起こしていないからといって、将来もまた同様であるとは限りません。そこには、老化という動かせない事実が乗ってくるからです。
自動車は運転を誤ると、恐ろしい凶器にもなりえます。油断大敵なのですが、先のグラフからは、明らかに油断が見てとれます。ここには、高齢者ドライバーの運転免許の返納を含めた意識改革が求められるはずです。しかしこれは、簡単なことではないでしょう。
一方で、運転免許の返納も進みつつあります。しかし高齢者の場合、自動車が運転できなくなると、引きこもりになってしまう可能性も高まります。そうなると、要介護状態になってしまったり、要介護状態が悪化したりもします。ですから、高齢者から運転免許を取り上げるというのは、ベストの解決策ではないのです。
自動車メーカーからすれば、この課題はチャンスでもあります。自動運転を含めて、安全技術を高めていけば、事故を減らせるからです。さらに、高齢者も引きこもりになることも避けられます。自動運転が普及することこそ(現時点では)ベストの解決策なのです。
コンサルティング企業として有名なBCG(ボストン・コンサルティング・グループ)は、自動運転に関する未来予測を行っています(BCG, 2015年)。それによれば、2035年には、世界の新車販売台数のうち、25%(3,000万台超)が、自動運転技術を搭載した自動車になります。
この内訳としては、ドライバーを必要としない完全な自動運転車(レベル4以上)が10%、部分的にドライバーの補助を必要とする自動運転車(レベル3)が15%とのことです。なお。このうち、レベル3の自動運転車については、2017年の今年から、実用化がはじまる予定です(MONOist, 2017年)。
完全自動運転(レベル4以上)はまだ難しいにせよ、高齢者が十分安全に運転できるレベル3の自動運転車は、2025年までには間に合うと考えられます。どのみち、今の現役世代が高齢者になるころには、高齢者の運転事故問題というのは、なくなっている可能性が高いでしょう。技術者たちの奮闘に期待したいところです。
※参考文献
・Response, 『80歳以上の高齢者ドライバー、72%が「運転に自信あり」』, 2017年3月7日
・BCG, 『自動運転車市場の将来予測』, 2015年4月
・MONOist, 『レベル3の自動運転は2017年から実用化スタート、止まらずに曲がる衝突回避も』, 2017年01月12日
KAIGOLABの最新情報をお届けします。