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日本の政治家は、選挙で当選したら、あとはイメージ戦略にばかりに時間をさいているように見えます。そんな人ばかりではないのでしょうが、介護業界を巻き込んだ議論が、本当に進んでいるのでしょうか。3年に1度の介護保険法改正のための議論は、広く社会で共有されているのでしょうか。
残されている時間は少ないどころか、実質的に手遅れなことも増えてきています。確かに急ぐ必要もありますが、大切な議論をすっとばして、破綻に向かってまっしぐらのような状態は、私たちの望む民主主義ではないでしょう。きちんと現実をみて議論をしてもらいたいです。
公的年金が、アメリカにおける雇用創出のために使われたりしています。そもそも、日本の年金は、大丈夫とは言えない状態です。医療や介護のための財源も、枯渇しつつあります。医療関係者や介護関係者は、低賃金でブラックな労働を強いられ「やりがい搾取」されています。
自動運転技術は、どんどん現実化しつつあります。タクシー、バス、トラックの運転手は、国内に約135万人います。自動運転が現実化したら、こうした人々の雇用はどうなるのでしょう。ベーシックインカムについて、真剣に議論すべきときではないでしょうか。
その裏では、世界の人口は100億人の大台に向かって増え続けています。食料やエネルギーといった資源が枯渇し、そうした資源をめぐる争いが増えていくことは目に見えています。資源に乏しい日本は、こうした世界の動きと連動して、混乱していくでしょう。こうした混乱の中で、介護は忘れられてしまいそうです。
内政も外交も、もはや、小さな改善でどうにかなる話ではありません。いまこそ、国家の根幹部分に関する議論が必要です。グランドデザインを変更し、税のありかたを考え、そして社会福祉についても、効率を重視する方向に切り替えていかないとならないのです。
解雇規制についても、撤廃することと同時に、セーフティーネットの構築も進めないとなりません。なんとなく、いまの状態を続けていくことはできません。景気がよくなれば、課題は見えなくなるかもしれませんが、近い将来、景気がよくなることもないでしょう。
山積する課題について、ひとつひとつ、しっかりと議論を進める必要があります。こうしたときは、急ぎたくなるものですが、焦って決めてよいようなレベルの課題ではありません。期待されている政治家でも、現状の危機認識が不十分な状態に見えます。
本当は課題を正しく認識してはいるけれど、既得権者に配慮して、それを表立って言えないのであれば、まだ良いと思います。ただ、もしかして本当に、課題の大きさを認識していないのかもしれないと不安になります。さすがにそれはないだろうと信じたいですが。
これまで、政治家が大切にしてきた地盤(地元組織)、看板(知名度)、カバン(資金)という考え方は、もう古いものです。タレント議員がテレビに出ているのを見るのは、もう嫌です。経済と歴史について高い教養をもち、危機意識があり、利他的な行動のとれる人物を選任していくべきです。
介護業界としても、課題を発信していく義務があります。また、介護業界から政治家を生み出し、日本の社会福祉についての議論を活性化していかないとならないでしょう。介護保険法の改正のたびに劣化していく介護業界を、ただ見ていることは終わりにしないとなりません。
介護離職は、本気で止めないとなりません。日本の社会福祉は、税金でまかなわれています。その税金を支払っているのは、現場で働いている人々です。そうした人々が介護離職をしてしまえば、税収は少なくなり、社会福祉はますます厳しくなります。このループに入ってしまうと、社会福祉の崩壊まで一直線ということになります。
もちろん、介護業界だからといって、高齢者ばかりを見ていてはいけません。介護業界が存在できるのは、納税者があればこそです。そして、将来の納税者とは、いまの子供たちにほかなりません。子育ての環境や、教育現場の改革なども、介護業界にとって大切なテーマです。
現実として、いまの日本では、子供と高齢者が、税金を奪い合っているような状態にあります。なんとか、介護予防と効率化を進め、高齢者にかかる費用を最小限としていくことで、子供のほうに税金が使われるような方向に持っていく必要もあります。
老人ホームで働いている介護職は、自分が高齢者になったとき、その老人ホームに入ることは(まず)できません。介護職の待遇が悪すぎるからです。どう考えても、これは異常な状態です。みんなで、きちんと政治家を選び、自分自身でも声をあげていきましょう。
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