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認知症の要介護者を介護することは、とても大変なことです。特に、穏やかだった人が急に怒りっぽくなったりと、要介護者の性格が変化したように見えることは、とても辛く、やりきれない気持ちにもなります。
75〜79歳の7.1%、80〜84歳の14.6%、そして85歳以上の27.3%は認知症とされます。今後、ますます高齢化が進む日本においては、認知症は、どこかの誰かの話ではなくて、自分とその周辺に起こることとして認識しておく必要があるのです。
考え方としては、認知症は、高齢者にはよく見られる病気です。過去には、老化のせいで、病気ではないと考えられていたこともあります。しかし、認知症は病気であり、直接的に、人の命を奪うようなものではありません。しかし、認知症の人を介護するときの負担は、相当なものになります。
大阪府和泉市と桃山学院大学による、認知症の共同研究があります(寺内, 川井, 2016年)。この研究では、認知症の介護をする介護者の負担が、2年目(1年以上3年未満)のところでピークとなることがわかりました。
なお、ここで負担とは、アンケートに対して「かなり負担」「負担」と答えた人の合計として考察されています。また、データ数が154と決して多くはないため、これで全てのケースを網羅しているとは言えませんが、参考になります。
このグラフの読み方としては(1)2年目に介護負担のピークが来る(2)10年を超えても負担が減らない人もいる(3)介護がはじまった直後の負担感は意外と少ない、といったあたりでしょうか。とにかく、2年目には、なんらかの特別な支援が求められるということです。
同研究では、医師やケアマネへの相談によって負担が軽減されたという人についての分析も行われています。ここで、そうした人が、相談の前後を振り返って、何に困っているかということが明らかにされています。あくまでもヒントにしかなりませんが、理解しておく必要もあります。
まず、もっとも多かったのが「認知症のことをよく理解できていなかった」(17.4%)ということです。まずは、介護者として向き合うことになる認知症という病気の知識について支援が求められるということです。
次に多かったのは「どこに相談すればよいかわからなかった」(14.0%)でした。これは、介護に限らず、日本の社会福祉全般に言えることですが、とにかく日本では、適切な相談先を見つけるのが大変です。認知症についても、専門医や家族会、認知症サポーターなど、様々な相談先があるのですが、それを見つけるのは大変なことです。
そして3番目に多かったのが「本人が受診したがらなかった」(11.6%)というものです。ここについては、介護を担う家族ではなく、プロの介護職の支援を受けながら、本人の受診をうながしていくといったことが求められるでしょう。嫌がる相手を動かすのは、かなりの負担だからです。
※参考文献
・寺内 謙元, 川井 太加子, 『「和泉市認知症高齢者等に関する実態調査」の分析による介護者の負担についての研究』, 桃山学院大学総合研究所紀要 42(2), 41-72, 2016-12-05
・地方老人保健福祉計画研究班・痴呆性老人調査・ニーズ部会, 『老人保健福祉計画策定に当たっての痴呆老人の把握方法等について』, 老計第29号, 老健14号, 平成4年2月
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