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介護をしていると、ときに、自分が行っていることの意味について、疑問を持ってしまうことがあります。要介護者から「殺してくれ」と頼まれることも、一般に知られている以上に、日常的にあることです。それでも、介護は続いていくのです。
要介護者も、自らの老いと必死に戦っています。それに絶望することも、当たり前にあります。ですが、完全に悪いことばかりではありません。そこにはほんの少しであっても、誰かに感謝したり、嬉しい気持ちになったり、笑ったりすることもあります。
介護をする私たちは、要介護者の、その瞬間のために頑張っています。要介護者から「殺してくれ」と頼まれたとき、私たちが「なに馬鹿なこと言ってるの!」と切り返すことができるのは、そうした瞬間があればこそです。
だからこそ、私たちが恐れているのは、要介護者が、本当に笑わなくなることです。要介護者が、ただ、我慢して生きているだけという状態に見えてしまうことが、恐ろしいのです。そのとき「殺してくれ」と言われたらどう感じるか、想像もしたくありません。
本当に救われるのは、プロの介護職が、こうした状況を打破してくれるときです。血縁のある自分との間では、もはや会話もできないような状況なのに、介護職は、そんな要介護者を笑わせることができたりします。むしろ、血縁だからこそ、難しいこともあるのかもしれません。
「殺してくれ」という言葉にショックを受け、もうダメかもしれないと感じてしまうときは、どうか、介護職に相談してもらいたいです。また、家族会などで出会った人が、そうした状態にあるときは、周囲にも相談の輪を広げながら、寄り添っていきたいものです。
少し大げさかもしれませんが、私たち一人一人は、誰かに「生きていてよかった」と感じてもらうために頑張っているのだと思います。なかなか、そこまでの仕事はできませんが、それでも、目指しているところは金銭的な利益ばかりではないはずです。
プロの介護職たちも、ただ、要介護者の生活の支援をしているという人は皆無です。生活の支援という形を通して、要介護者に、少しでも嬉しい気持ちになってもらいたいと思っています。そして究極には「生きていてよかった」と言わせたいとも考えているのです。
依然として、医療と介護の間には越えられない壁があります。社会福祉のための財源は減らされ、現場は疲弊してきています。それでもなお、医療と介護のプロたちは、私たちとともに、同じゴールを目指しているのです。あきらめず、ともに進みましょう。
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