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リエゾン精神医療(liaison psychiatry)の存在を知っていますか?

リエゾン精神医療(liaison psychiatry)

リエゾン精神医療とは?

「リエゾン(liaison)」とは、フランス語で「連携」を意味する言葉です。特に、身体に関する病気を担当する主治医や看護師のチームに、精神科のチームが「連携」するような形を「リエゾン精神医療(liaison psychiatry)」と言います。

この「リエゾン精神医療」に注目が集まっているのは、身体の病気に苦しんでいる人の多くが、精神的なケアを必要とする状態にあるからです。厚生労働省の資料(サンプル数543人)によれば、入院患者のうち、なんらかの精神的なケアが必要な人が55.2%もいたと言います。

こうして必要になっている精神的なケアが行われないと、入院が長期化します。入院の長期化は、患者にとって負担であるだけでなく、財源問題を抱えている医療費という側面からもよくないことです。「リエゾン精神医療」には、大きな期待がかかっていることがわかるでしょう。

リエゾン精神医療のチーム

精神科で働く医療職がチームを組んで、このチームと、現在の主治医や看護師が連携します。その上で、身体の病気にともなって発生する、さまざまな精神的課題に対して、この精神科のチームが支援を行っていきます。

もともとは精神的に健康だった人でも、身体に病気を抱えると、心のバランスもおかしくなるというのは、珍しいことではありません。身体の病気の状態がよくなったり、悪くなったりするという過程で、心が乱されるのでしょう。

精神科のチームに含まれるのは、精神科の医師だけではありません。看護師はもちろん、臨床心理士や精神保健福祉士、作業療法士なども、このチームに含まれます。薬剤師、栄養士や事務員も、チームに入ることもあるようです。このように、精神科のチームの中だけでも、職務的に広い範囲での「連携」があります。

このような「リエゾン精神医療」のチームは、入院患者に対して対応するだけでなく、一般の外来にも対応することがあります。今後は、在宅医療、在宅介護が進む中で、地域における「リエゾン精神医療」というものが、より強く求められていくことでしょう。

長期的には、地域の精神的な健康を予防的に管理するという方向まで期待されます。「病は気から」と言いますが、人間の精神的な部分へのケアについて、地域の知恵をリードするような、そうしたチームの存在の重要性は今後ますます高まっていくでしょう。

リエゾン精神医療を検討すべきケースとは?

まず、身体的な病気や障害に加えて、幻覚や幻聴があるような、明らかに精神科の受診が必要な場合は、迷わずに主治医に相談しましょう。そこまで明らかではなくとも、思い当たることがあったり、以下のようなケースに当てはまる場合は、念のため、主治医に「リエゾン精神医療」の活用を相談してみましょう。

1. 不安が大きく、気分が落ち込んでしまうことが多い

2. 以前よりも、イライラして興奮気味になることが多い

3. 夜よく眠れなくなった

4. 食欲がなくなり、元気もなくなった

5. 周囲の状況が把握できずに混乱してしまうことがある

※参考文献
・厚生労働省, 『精神科医療について』, 平成23年11月2日
・佐藤 茂樹, 『身体合併症医療と総合病院精神科』, 平成21年5月21日

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