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梅雨の時期には、うつ病に注意!それは加齢の影響ではなくて、うつ病の症状かもしれません。

梅雨の時期には、うつ病に注意!

梅雨の時期には、うつ病に注意が必要

全国各地が梅雨入りし、ジメジメとした日が増えてきました。現在のところ、梅雨にしてはあまり雨が降っておらず、関東では水不足が心配されるような状況です。雨は嫌ですが、少なすぎるのも問題ですね。

梅雨の時期になると、うつ病にかかる人が増えると言われています。科学的に証明されているわけではありませんが、日照時間の短さや、梅雨前線による気圧の低下、さらに湿度が上がることによる不快指数の上昇などに、うつ病との関連が指摘されています。

残念なことに、日本のうつ病の患者数は、年々増えてきています。厚生労働省によると、1996年にうつ病患者は43.3万人でしたが、2002年には71.1万人、2008年にはとうとう104.1万人と、100万人を超えてしまいました。日本におけるうつ病は、この12年間で2.4倍に増えた計算になります。

うつ病は、男女差も大きい(特に高齢の女性に注意が必要)

2008年の患者数で、年齢階層別にみると、男性では40代の8.4万人でもっとも多くなり、そこから年齢層があがるごとに減っていきます。70代では4.6万人、80代では1.5万人です。働き盛りで、管理職になる人も多い40代に、多くなるのが男性のうつ病の特徴です。

これに対して、女性では30代で10万人を超えると、そこから70代までほぼずっと10万人を超えたままです。もっとも多い60代では12万人に上ります。いわゆる更年期に入るころから増え始め、そこからなかなか減らないのが女性のうつ病の特徴です。全体的に見ると、高齢の女性にうつ病患者が多いことがわかります。

全人口で見れば、うつ病にかかる人は、人口の約1%程度です。しかし65歳以上の高齢者に限ってみると、うつ病にかかる人は13.5%にのぼります。高齢者の場合は、うつの症状が目立ちにくく「歳のせいだからしょうがない」と言って、きちんと受診しないことも多いので、実際はもっと多いのかもしれません。

高齢者のうつ病は、不安が顕著になることや、無気力や意欲低下が特徴です。あまり悲哀を訴えないかわりに「なんとなく頭が重い」とか「よく眠れない」といったような悩みが言われます。こうした悩みとうつ病との違いを見分けるのは難しく、診断がなかなかうまく進まないことも多いようです。

また高齢者の脳機能は、様々な病気や薬の影響を非常に受けやすくなっています。他の病気との合併症や、認知症との合併症としてのうつ病は、介護の負担にも重くのしかかってくる、大変な問題です。

喪失感が高齢者のうつ病につながりやすい

高齢者がうつ病を発症する原因として大きいと言われるのは、様々な喪失体験です。まず身体機能の面では、今まで出来ていたことが、筋力や認知機能の問題で少しずつできなくなっていく喪失感を味わいます。これは高齢者に限らず悲しいことですが、高齢にもなれば、そういうことが増えてしまいます。

また大きな喪失体験として、大切な人との死別があげられます。平均寿命の延びとともに、死別の時期は遅れているものの、いつかは大切な人の死に接することになります。配偶者や長年の友人の死もあれば、ずっと生活を共にしてきたペットの死に接する機会もあるでしょう。

うつ病の症状のあらわれ方には色々ありますが、高齢者に多いのは、食欲の低下や引きこもりです。この状態が続くと、いずれは食事や排せつ、移動や入浴といった日常生活動作(ADL)が損なわれていきます。最悪の場合、そもそもは介護が必要ではなかったにも関わらず、廃用症候群のようになってしまいます。

廃用症候群は、入院などによって病床に寝たきりになった時に起きるような、心身機能の低下をいいます。生活不活発病とも呼ばれます。一定期間の安静が続いてしまうと起こる症状です。筋肉や関節の萎縮といったものから、低血圧症、あるいは便秘や失禁といったものまで、幅広い症状が起こります。こうなってしまうと、介護が必要になってしまうのです。

先にも述べたように、高齢者のうつは「歳だからしょうがない」と見過ごされることが多いのです。そこでうつ病を見過ごしてしまうことで、介護が必要なかった人までもが、要介護状態になるという結果にもなりかねません。日頃からのコミュニケーションを大事にして、変化に気づいてあげることが大切です。

※参考文献
・中村 祐, 『高齢者のうつ病治療を考える』, ラジオNIKKEIシリーズ第4回, 2011年12月26日
・厚生労働省, 『知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス』, 2011年
・井藤 佳恵, 『高齢者の気分障害』, 日本老年医学会雑誌 49巻5号, 2012-09

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