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日本一の長寿県はどこ?少しの生活習慣が、大きな分かれ道になる。

日本一の長寿県は長野県

世界で一番長生きできる国、日本

2016年版の世界保健統計によると、2015年の日本人の平均寿命は83.7歳で世界一となりました。世界全体の平均寿命は71.4歳なので、日本人は世界の平均よりも10年以上長く生きることができるということです。

日本の平均寿命1位は、統計を確認できる期間だけでも、20年以上続いています。男女別にみると、男性は80.50歳、女性は86.83歳です。男性は世界で第6位、女性は第1位となっています。世界的に見ても、男女ともに80歳を超えている国はあまり多くありません。

特に、人口が1億人を超えている国で、男女ともに80歳を超えているのは日本だけです。もっとも長生きできる国に生まれたことは、それ自体はとても喜ばしいことです。同時に、長寿であるということが、介護をめぐる物事を難しくさせているというのも事実です。

平均寿命=健康寿命ではない事実

しかしながら、80歳を超えて、その生涯を終えるギリギリまで、元気な状態で暮らすということは、非常に難しいことでもあります。心身の健康は、高齢になればなるほど、危ういものになっていくからです。

1950年頃までは、結核や肺炎などの感染症が日本人の死因の上位を占めていました。当時は、こうした病気に対して「治癒か死か」というふうに言われました。つまり、感染症にかかると、命を落とすリスクは高いものの、治ってしまえばまた元気になるといった状況だったのです。

現在はどうでしょう。いわゆる三大疾病(がん、心臓病、脳卒中)や糖尿病など、あらゆる生活習慣病にわれわれは苦しめられています。感染症との違いは、これらの病気は、発症してからすぐには亡くならないものの、完治は困難で、一生をかけて付き合わなければならないという点です。

国の高齢化とともに、認知症の患者が増え続けていることも見過ごせません。平均寿命が長くても、一方でその年齢と健康寿命(寝たきりなどにならず、健康に生きていられる期間)との差が大きければ、それは必ずしも幸せとは言えません。もちろん本人にとっても、家族にとってもです。

健康寿命アップに取り組んできた長寿県の事例

都道府県別に平均寿命を調べた非常に面白いデータがあります。5年に1度行われる国勢調査に合わせて、平均寿命が都道府県別に発表されるランキングです。まだ昨年(2015年)の統計は、集計速報しか出ていませんので、今回ご紹介するのは5年前のデータ(2010年)になります。

現在、もっとも平均寿命が長いのは、男女ともに長野県です。男性は20年前(1995)年の調査で沖縄県を抜いてトップに立ってから、ずっと1位を守り続けています。一方、女性はじわじわと上昇してきて、2010年の調査でとうとう1位になりました。

女性については、1985年以降25年にわたり、ずっとトップを走ってきた沖縄をかわしての1位でした。ちなみに沖縄県の男性は1995年にトップを明け渡したのち、現在は30位まで順位を落としています。これも、注目すべきポイントでしょうか。

長野県の男女ともに1位という結果の裏には、様々な努力があったと言われています。もちろん、科学的にこうすれば寿命が延びると証明されているわけではありません。寿命には様々な要因が重なりますので、これが良かったのではないかといったものです。

かつて、国民健康保険中央委員会には研究委員会がつくられ、長寿の秘密が研究されたそうです。その報告によれば、高齢者単独世帯の比率の低さ、持ち家率の低さ、在宅ケアの充実などが、長野県を健康長寿にしているとされました。また坂道が多く、老人が自分の足で上り下りしているのが健康の秘訣だとも考えられました。

なかでも、もっとも統計的に有意だとされたのは、高齢者の就業率の高さでした。長野県は農業従事者が多いそうですが、北海道などと比べると、けた違いに小さな農業だそうです。つまり、無理なく続けられて、ちょっとした収入にもなり、それが生きがいに繋がっていると考えられるのです。身体を動かして働くことや、生きがいのある生活を送れることが、健康長寿の秘訣なのかもしれません。

もちろん、地域医療に携わった多くの先生方の努力もあるでしょう。また、長野県に暮らす人々の生活習慣に変化があったことが影響しているのは間違いありません。病気になってしまった人の手術に力を入れるのではなくて、その前になんとかするという予防的な考え方を共有したことも大きかったそうです。

訪問診療など、今当たり前に行われている医療のベースが、長野から始まったとも言われています。長野県には、歳をとっても介護を受けなくてもいいように、出来ることをやっていこうという文化も根付いています。これはぜひ、他県も見習いたいところでしょう。

介護のいらない生活をするために、気を付けたいこと

一方で、残念なお知らせもあります。男性は1980年以降、女性についても2000年以降ずっと、国内の平均寿命において最下位を抜け出せていないのが青森県です。こちらについても、その理由が科学的に証明されているわけではありませんので、憶測を抜け出さないところはあります。

雪国ならではの塩辛い保存食や、夜に体を温めてくれるお酒の摂取量の影響は大きいかもしれません。また喫煙率の高さも影響していると思われます。実際に、がんによる死亡率は全国でもっとも高くなっています。その他の生活習慣病についても、全国的に見れば多くなってしまっているのが現状です。

高齢化率がどんどん上昇していく日本においては、介護の負担を出来るだけ減らしていく必要があります。そのために、高齢者が生活習慣病にかからない生活を意識することは、とても重要です。

出来る限り、平均寿命と健康寿命がピタッとあうような状況を生み出すことができれば、介護者にとっても、要介護者にとっても、負担は軽くなります。日頃のちょっとした生活を、今から少しずつでも変えていきたいものです。

※参考文献
・厚生労働省, 『人口動態統計特殊報告 都道府県別に見た死亡の状況』, 2012年3月1日
・厚生労働省, 『厚生労働統計一覧 平成22年度都道府県別生命表の概況』, 2011年12月1日
・鎌田 實, 『◯に近い△を生きる』, ポプラ新書(2013年)

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