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終わりの見えない介護。せめて、目安となる「期間」はないのか

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気持ちに余裕がない場合は、この記事は読まないでください。「看取り」に関する内容になります。

アンケート調査結果では平均56.5カ月(4年9カ月)

生命保険文化センターの調査によれば、介護の期間は平均56.5カ月(4年9カ月)でした。ただし、この調査には「現在も介護を行っている人」が含まれていて、この人たちのデータは「介護を始めてからの経過期間」になっています。すなわち、介護のはじまりから終わりまでの期間ではない点には、注意が必要です。

とはいえ、5年くらいの期間は最低でも覚悟する必要があると読めば、意味のある数字です。それだけの長期をしのぐだけの金銭的余裕と時間的余裕をどう確保するのか、まずは「5年を超える」ことを最低条件とすべきでしょう。

平均寿命と健康寿命から読み解くと10年程度

日本の平均寿命は、男性が80.50歳、女性が86.83歳となっています(2014年実績)。これに対して、日本人が健康に生きられる寿命である健康寿命は、男性が71.19歳、女性が74.21歳です(2013年実績)。

単純な引き算で考えると、男性が健康でいられない期間は、約9年(80.50歳−71.19歳)であり、女性は約13年(86.83歳−74.21歳)ということになります。

もちろん、これは単純すぎる計算です(本来は平均余命を使うべきだし、分散を考慮すべき)。そもそも、介護は個人差が大きなものです。ただ、目安としては、介護にかかる期間は10年程度というあたりに置いておくと、イメージしやすいかもしれません。

期間の長さよりも、本当はその中身が問題

介護者として意識したいのは、同じ10年程度の介護であったとしても、中身が異なるということです。被介護者が「自分のことは、ある程度、自分でやれる」という、比較的元気な10年なのか、それとも「自分のことが、ほとんど自分でやれない」という10年なのかで、辛さが変わってきます。

被介護者に、少しでも元気でいてもらうことが、基本的な介護戦略です。特に、認知症の対応は大変なので、身体的なことも大事ですが、やはり、精神的なところでのケアを怠ると、介護者にとって厳しい10年になると思われます。

介護の中身は、認知症予防にかかっている

認知症の予防には(1)食習慣;野菜、果物、魚などを食べる(2)適度な運動習慣(3)豊かな人間関係(4)知的習慣;読書、ゲームなど(5)良好な睡眠、といったことの効果が認められています。

とはいえ、そもそも介護の始まり自体が認知症という人も多いはずです。その場合であっても、やはり、認知症の度合いをすすめてしまわないような介護を意識する必要があるでしょう。

認知症が進むと、落ちてくる能力の一つに「エピソード記憶」というものがあります。「エピソード記憶」とは、簡単にいうと、自分が過去に体験したことを思い出すときに使う記憶です。

この「エピソード記憶」の低下をおさえるには、日記をつけたりすることが有効と言われます。本質的には、過去におこったことを「思い出す」という行為を、日常的に行うことが重要ということでしょう。

とにかく、少しでも「あぶないかな?」と思ったら、専門の医師に相談するのが大事です。

※参考文献
・公益財団法人生命保険文化センター, 『介護にはどれくらいの年数がかかる?』, 生命保険に関する全国実態調査, 平成24年度
 

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