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介護職が働く職場の学習環境を変える【KAIGO LAB SCHOOL】

介護職が働く職場の学習環境を変える【KAIGO LAB SCHOOL】

以下は、KAIGO LAB SCHOOL(介護業界の若手人材向け・無料のビジネス・スクール)に提出された課題レポートの1つです。介護業界の刺激として、また、KAIGO LAB SCHOOL の活動報告として、ここに掲載します。なお、職場の特定ができないように、内容には一部事実とは異なるものが含まれています。また、本文についても、KAIGO LAB 編集部が編集を入れています。

Will Skill Matrix(WSM)による評価・分類

まずはじめに、私の職場で働く職員たちを Will Skill Matrix(WSM)を使って分類してみる。スキル軸においては、実際の現場でのケアやデスクワーク等の成果物の品質を判断した。またモチベーション軸においては、面談シートや改善提案の回数、または管理者層からの業務に対する姿勢などを参考にした。

このWSM作成における、職員の評価は、どうしても主観的なものになってしまう。本当に、この人材は、このスキルなのか、このモチベーションなのかと、かなり迷った。そこで、小さな対策ではあるものの、マネージャー職の同僚にも、この評価に参加してもらった。評価に2人の人間を介在させることで、偏見の介在余地を減らした。

結果は、管理者層を除いた職員数(16名)のうち、スキル・モチベーションともに高いAクラス人材が2名、スキルはあるがモチベーションの低下が見られるBクラス人材が3名、スキルはないがモチベーションは高いBクラス人材が7名、スキル・モチベーションともに低いCクラス人材が4名という内容となった。

学習タイプによる評価・分類

先のWSMによる評価に重ねて、学習タイプ(積極的学習者・消極的学習者・学習拒否者)による分類も行ってみた。この分類の根拠としたのは、研修会・勉強会などへの参加回数や、その後の行動の変化の有無、行動の持続性などから判断した。それでも、どうしても主観も入ってしまう点には注意が必要である。

結果は、積極的学習者が2名、消極的学習者が12名、学習拒否者が2名となった。さらに、消極的学習者の中で、環境次第で積極的学習者へ近づいていける職員(+)と、反対に学習拒否者へと近づきやすい職員(-)とにわけて見ると、12人の消極的学習者のうち4人が(+)、8人が(-)と分けることができた。

2名の学習拒否者について、施設長に話を聞いてみた。すると、偶然か必然か、1名はすでに退職願を出している職員であり、もう1名は「問題あり」として内々に伝えられていた職員であることがわかった。主観が入ってしまう評価・分析ではあるものの、その結果には、現実との整合性も認められることが確認できたことは大きい。

2つの評価・分類結果の分析

積極的学習者かつAクラス人材として評価された職員のうち1名は、施設長によれば、過去には常勤職員であり次期リーダー候補として目されていたという。しかし現在は、さらなるキャリアアップのために専門学校への進学を準備しており、非常勤職員になっている。残念ながら、この人材は、将来的には退職していく可能性が高いという。

ここでも、現実との整合性が見られたが、どこまでも優秀な人材を求めるだけでは、経営にはならないことが痛感された。時間がかかっても、こうした優れた人材が、長期間に渡って働きたいと思えるような職場づくりが必要である。

それにも関わらず、昨年度の私は、職員教育にかける時間と労力のほとんどを、学習拒否者にばかりかけてしまっていた。しかし、KAIGO LAB SCHOOL の授業で教わったのは、きっかけさえあれば学習していける消極的学習者へのフォーカスと、そこへの積極的学習者の巻き込みである。昨年度の私が、成果を出せなかったのは、当然のことであった。

施設長には、この分析結果を正直に伝えた上で、昨年度の自分自身のあり方について反省の気持ちを述べた。その上で、今年度の職員教育には、学習理論を前提とした設計を取り入れることに賛同してもらうことができた。小さなものだが、自分でなにかを提案した結果として変化を生み出せるという事実には、素直な喜びを覚えた。

私が実際に行った(行っている)こと

人事考課に関わる評価シートの中に、学習姿勢と学習効果に関する項目を追加し、それを職員にアナウンスした。また、マネージャー職には、部下の学習意欲について責任があることを自覚してもらい、これも、マネージャー職の評価項目として追加した。

スキルは不足しているがモチベーションのあるBクラス人材に対しては、より優れた学習環境を提供していく計画を立てた。この計画では、研修会や勉強会への参加機会を提供するだけでなく、自分のあり方を振り返る内省支援と、明るい職場を形成することによる精神支援を、施設長と2人で行っていく形とした。

スキルはあるがモチベーションが不足しているBクラス人材に対しては、モチベーションを損なわないような精神支援をしつつ、そのスキルを活かせる場を準備して、権限を委任する方向で計画を立てた。こうした人材のモチベーションに配慮することについても、施設長と合意した。

これからは、私の職場にいるすべての職員が、それぞれに成長し、成長からモチベーションを得て学習を進め、結果として利用者の幸福に寄与できる未来を目指していく。そのために、積極的に企画を提案し、上司からの承認をもらい、トライ&エラーを繰り返していきながら、私自身もまた学んでいきたいと思う。

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