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介護職の現場におけるチームビルディング【KAIGO LAB SCHOOL】

介護職の現場におけるチームビルディング【KAIGO LAB SCHOOL】

以下は、KAIGO LAB SCHOOL(介護業界の若手人材向け・無料のビジネス・スクール)に提出された課題レポートの1つです。介護業界の刺激として、また、KAIGO LAB SCHOOL の活動報告として、ここに掲載します。なお、職場の特定ができないように、内容には一部事実とは異なるものが含まれています。また、本文についても、KAIGO LAB 編集部が編集を入れています。

グッド・アンド・ニュー(Good&New)は有効か?

私が働いている介護現場では、毎日、スタッフが入れ替わるタイミングで、前任者が後任者に介護業務の継続に必要な情報を伝える「申し送り」が行われている。この「申し送り」の場を、チームビルディングにも活用することを考え「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」というアイスブレークを導入した。

導入後、スタッフの間にポジティブな空気が情勢され、コミュニティー科学の知見(非公式なコミュニケーションの多い職場では問題解決の生産性が向上する)通りに、それが業務効率の改善に結びつくかどうかを検証していく。

アメリカの経営学者チェスター・バーナードが提唱した組織が成立するための条件は(1)共通の目的を持っていること(2)お互い協力する意思を持っていること(3)円滑なコミュニケーションが取れること、の3つである。「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」は、これら3つの条件にどのような影響を与えるかも考察していく。

「申し送り」が必要な現場に見られる課題

介護現場において、スタッフ同士で交わされる会話は、利用者(要介護者)の話が中心になる。しかし、人間が本来必要としているのは、フォーマルな仕事の話だけでなく、インフォーマルなコミュニケーションであることを学んだ。

職場におけるインフォーマルなコミュニケーションは、チーム・ビルディングに良い影響を与える。そして、人間関係が安定した職場においては、個々のモチベーションが高まる。ここで、高いモチベーションが、よりよい仕事につながることは自明である。

インフォーマルなコミュニケーションとして考えられるのは、飲み会や休日のイベントなどであろう。実際に、そうしたことは、多くの介護事業所において行われている。しかし、毎日「申し送り」が必要な現場(スタッフに日勤や夜勤といった区別があるような現場)においては、こうした施策が有効に運営できない。

その理由としては(1)時間を合わせてインフォーマルに会うことが困難(2)低賃金な職員も多く飲み会の参加費が負担になる(3)勤務中にコミュニケーションの時間を設けるのは慢性的な職員不足の中では現実的ではない、といったことが挙げられる。

アイスブレーク施策;グッド・アンド・ニュー(Good&New)

そこで、私は「申し送り」の有効活用を考えた。そこに、インフォーマルなコミュニケーションを刺激するようなアイスブレークを導入することで、なんらかの変化が起きることを期待した。そのためのアイスブレーク施策として「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」を選択した。

「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」は、参加者それぞれが2分ほどの時間を使うだけなので、それほど時間を取らない。しかし、この2分によって「フレデリクソンの拡張形成理論」が伝えるところである、ポジティブな感情形成がなされるのであれば、大きな成果につながるかもしれない。

「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」とは、米国の教育学者ピーター・クライン(Peter Klein)が提唱したもので、組織やチームの活性化を目的としたアイスブレーク施策である。時間がかからず、簡単で、効果が高いアイスブレークとして知られている。

これを実行する時のルールとしては(1)数名で輪になる(2)最初の発表者を決める(3)発表者は「直近24時間以内で良かったこと、新しかったこと」を発表する。発表が終わったら、周囲は拍手などでそれを肯定する、という簡単なものである。

このとき、発表者になる人は、クッション・ボールのような、投げても危険にならないものを手にしていることが多い。発表が終わったら、発表者は、それを周囲の人に投げる。これを受け取った人が、次の発表者になるという仕組みだ。このとき、発表者はテンポよくかわっていくことが大切とされる。

最初の発表者は、このアイスブレークを知らない他の人にとっては「見本」になる。この点に注意して、最初の発表者は「直近24時間以内で良かったこと、新しかったこと」について、ある程度事前に考えておいたほうが、後に続く人が「ああ、そういうことね」とアイスブレークの内容を理解しやすくなるだろう。

「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」を導入した結果

KAIGO LAB SCHOOL の宿題においては、企画をするだけでなく、それを上長に相談しつつ実行の許可をもらい、実際にやってみるというところまでが求められる。実際に許可がもらえない場合は、企画の作り方に問題があると反省し、次回以降の企画作成に活かしていくという設計である。

この企画は、上長から許可が得られた。実施計画としては(1)しばらくは私が最初の発表者になり雰囲気を掴んでもらう(2)2週間ほどして職場内に浸透してきたところで私以外の人に最初のメンバーにも最初の発表者になってもらう(3)1〜2ヶ月を目安に実施前と実施後の相違を調査し有用性を検証する、というものであった。

今回のレポート提出までに、実際に6回の「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」を行うことができた。現時点では、定性的な情報しか得られていないものの、スタッフからの評判は、想像以上に高いものであった。

これから、アンケートを用いて効果を検証してく必要もあるが、スタッフの評判が高いということだけでも、続けていく意味が実感されている。また、このアイスブレークにおいては、最初の発表者の話によって、盛り上がりに差異が生まれることも感じられた。ここについても、考察を深めていきたい。

最後に、KAIGO LAB SCHOOL 学長からの指摘にもあったとおり、こうしたアイスブレークは「飽きられる」という宿命を持っていることは忘れてはならない。次々と新しい施策を考えて導入していく必要がある。今後は「グッド・アンド・ニュー(Good&New)」も含めて、アイスブレークの「賞味期限」についても検証していきたいと思う。

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