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KAIGO LAB SCHOOL 第1期生(卒業生)水澤弘之亮が起業します。

KAIGO LAB SCHOOL 第1期生(卒業生)水澤弘之亮が起業します。
水澤弘之亮(みずさわ・こうのすけ)さん

KAIGO LAB SCHOOL 第1期生(卒業生)の現在

介護業界の若手向けに、無料で経営学の教育を行う KAIGO LAB SCHOOL の第1期生は、2017年2月7日に卒業しました。この日に開催された、卒論発表と卒業式を兼ねたイベントの様子は、NHKの番組も含めて、数々のメディアで取り上げられました。

あれから約3ヶ月たった現在、KAIGO LAB SCHOOL 第1期生たちは、それぞれどのように過ごしているのでしょうか。自発的に集まって開催された「企画を進めるための会(仮)」の様子は以前取り上げました。今後は、卒業生1人ひとりに焦点を当てた記事も発信していきます。

今回は、KAIGO LAB SCHOOLを卒業し、7月に訪問介護事業所を立ち上げる予定の水澤弘之亮(みずさわ・こうのすけ)さんにスポットを当てたいと思います。なお、このレポートは、水澤さんが登壇した『めぐろ医介塾情熱大陸(with AAメディカルリーガル勉強会)』での取材報告になります。

仕事の向き合い方を変えた利用者の一言

水澤さんが、訪問介護を始めて9年目のことです。水澤さんは、もともとは、介護に対する情熱はあまりありませんでした。夜勤中はゲームをしたり、漫画を読んだりしていました。しかし、そんな水澤さんの人生は、ある利用者Aさんから言われた一言がきっかけで、大きく変わります。

「失格」って利用者さんから言われたんですよね。どうしようかなと思った。その時、利用者さんに何にもしてなかったと反省しました。そして、もっと向き合ってみようと思ったんです。向き合ってみると、少しずつ介護の面白さを感じていきました。

Aさんは、ALSという病気でした。ALSとは「筋萎縮性側索硬化症」のことで、運動神経系が少しずつ老化し、使いにくくなっていく難病です。どこから症状が進行していくか、また、進行のスピードも人それぞれです。発症後1年で亡くなる方もいらっしゃるそうです。

ALSの人の大きな分岐点は「呼吸器をつけるかつけないか」という選択です。呼吸器をつけないと、吸筋麻痺や嚥下筋麻痺で亡くなってしまいます。一方、呼吸器をつけると長く療養できますが、会話による意思疎通が図りにくくなり、在宅で生活する場合、誰かの助けがないと生活が困難になります。

「生きていて良かった」と思ってもらえるようなケアの探求

そして、水澤さんが、起業という選択をしたのは、別の利用者Bさんとの出会いがきっかけです。Bさんは、出会った頃は「生きていても辛いだけだから、余計なことは何もしなくていい」と言い、呼吸器をつける予定のなかった方でした。

そんなBさんに対して、水澤さんは、食の雰囲気を楽しんでもらおうと試行錯誤したり、クリスマス会を企画したりと、本気でかかわりました。そして、クリスマス会をふたたび開催しようと約束していた前日、Bさんに転機が訪れます。呼吸苦により、病院への緊急搬送となってしまったのです。

「これで、お別れかもしれない」と、水澤さんも、急いで病院に駆けつけました。到着すると、Bさんが呼吸器をつけると決意してくれたことを、家族が泣きながら伝えてくれたそうです。Bさんは、このままだと死んでしまうと思った瞬間に「家族や水澤さんに会えなくなるのが嫌だ」と感じたのでした。

退院後、Bさんの自宅での生活が再開しました。しかし、様々な課題があり、Bさんや家族が望むサービスが提供されませんでした。そこで水澤さんは、Bさんの家族と一緒に、Bさんや家族が望むヘルパーを育て、派遣するために訪問介護事業所を立ち上げることにしたのです。

立ち上げ予定の訪問介護事業所の使命

水澤さんは、これから立ち上げる訪問介護事業所の使命について、以下のように語りました。自分1人では限界があるので、多くの仲間とともに、この使命を実現していく夢を持っています。

ALSの患者は、長期療養の末、TLS完全閉じ込め状態(感覚は正常で意識が清明にもかかわらず、意思表示の方法が完全に欠如してしまう状態)となります。

そうなったとしても、呼吸器をつけ、生きるという選択をして良かったと思えるケア、そして「この人に会いたい」と思ってもらえるような関係性の確立を目指します。

また、音楽が好きなALSの方が作曲ができるまでに支援するといった、クリエイティブなところまで支援していきたいです。

KAIGO LAB SCHOOL は「日々の業務課題を高いレベルで解決し、その解決策を介護業界全体に広め、もって介護業界の発展に大きく寄与する人材を輩出すること」を目的として設立されました。

この目的は、水澤さんのような活動が生まれ、広がり、そして成果を出していくことで実現されていきます。しかし、現在の介護業界の状況からすれば、こうした若者の船出は、前途多難です。

熱い気持ちは、経営の必要条件であって、十分条件ではありません。起業しておしまいではなく、成果を出していくことが重要です。そして、成果を出すには、周囲からの多くの支援が必要です。

どうか、みなさまの応援を、よろしくお願いします。

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