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誰かの役に立つことは、私にとって義務である【KAIGO LAB SCHOOL】

誰かの役に立つことは、私にとっては義務である

以下は、KAIGO LAB SCHOOL(介護業界の若手人材向け・無料のビジネス・スクール)に提出された課題レポートの1つです。介護業界の刺激として、また、KAIGO LAB SCHOOL の活動報告として、ここに掲載します。なお、職場の特定ができないように、内容には一部事実とは異なるものが含まれています。また、本文についても、KAIGO LAB 編集部が編集を入れています。

『私が、誰かの役に立つためにすべきこと』(1期生Bさん/30代マネージャー)

「ビジネス(business)」が「仕事」という限定的な意味になったのは、14世紀後半のことである。しかし、何も学んでいない状況で「ビジネス」とは何かと問われたら、単純に「仕事」と答えてしまう人がほとんどではないだろうか。私自身「ビジネス」とは何かを問われた際、「仕事」「お金を生み出す」「経営」などを連想した。

「ビジネス」の語源は、古代英語の「bisig」の名詞形の「bisignes」である。そして「bisignes」という言葉には「ケア」「心配事」「職業」といった意味があった。おどろいた事に、私たちの職業に関りの深い「ケア」という言葉が、ここに含まれていたのだ。

人は仕事をする以前に、日常の中で誰かを気にかけたり、配慮したり、時には手を貸すような気持ちを持ち合わせていなければ、生きていけない。つまり「ビジネス」とは、人がつながっていくことを目的とした、壮大な手段になっているのだと感じた。

これまでは、福祉職にある私は「ビジネス」という言葉に、冷たいものを感じてきた。しかし、それは本来の意味からすれば、間違いであった。あらためて、知らないということは怖いと思った。

優れた「ビジネス」とはいかなるものだろうか?

講義では、優れた「ビジネス」とは、それによって解決される課題の重要性に依存することも学んだ。また、誰もが自らの可能性を最大限発揮し、難しくて意義深い課題を解決することで、幸福に近づけるということも理解できた。

ここから、優れた経営者になるためには、従業員を雇用し、従業員に対して、大いに誰かの役に立てる機会を提供する方法を学ばなければならない。まずは、自らが意義深い課題を解決できるようになることが大事だが、そこでとどまっていては、経営者としては失格であろう。

ここで注意したいのは「ビジネス」によって解決される課題の重要性に関する評価である。その課題が、本当に1人の人間の生涯をかける価値があるものか、見極めが非常に重要である。そこを間違えると、本来の意味における「ビジネス」で成功することはできない。

では、私に、そのような課題を見極める能力があるだろうか。非常に、疑わしい。そこで講義で学んだのは「自分よりも優れた人(アドバイザー)に聞く」という、非常に単純な手法であった。ただし、単純ではあるものの、これを実践できている人は、どれほどいるだろうか。

課題の選定でも、解決策を考え運用する時でも、知識も経験も足りない自分が思いつくようなことは、大抵、すでに誰かが考えている。考えているだけでなく、上手にそれを実現し、実績を残している人も多数いる。こうした人に頼ることを躊躇していて、自分に大きな成果が出せるとは思えない。

実際にアドバイザーを活用して課題の選定を試みてみた

KAIGO LAB SCHOOL では、知識の実践が重視される。レポート課題も、実践に結びつけられていないと、よい評価はもらえないことになっている。そこで私も、早速、アドバイザーとなれる人を探し出し、課題を見つけ、その解決を試みてみた。

講義で習った、事業収益にインパクトを出すためのアクションを網羅的にまとめた「ビジネス・ロジックツリー」に従って、自らが参加する事業の分析を行った。その中でピックアップしたのは、売り上げの改善の領域の中で、顧客単価の改善として考えられる「上位商品の提案(アップセル)」である。このテーマについて、アドバイスをもらいながら、職場の現状から課題を抽出し、解決策を考えてみた。

私の職場(介護施設)では、事業方針として、在宅復帰(介護施設に入所した状態から、在宅介護に切り替えること)に力を入れている。実際に、利用者が在宅復帰をしたときの割合を特に「在宅復帰率」という(厳密には、より詳細な定義があるが、ここでは割愛)。

そして、この「在宅復帰率」に従って、算定できる報酬体系が変わってくる。「在宅復帰率」が高くなると、報酬も上がるという仕組みだ。これが、介護事業者にとっては、利用者を介護施設に長期滞在させるのではなく、在宅に戻ってもらう活動のインセンティブ(誘引)になっている。

私の職場における「在宅復帰率」を調べるため、管理系の最高責任者にアドバイザーになっていただいた。そうして(かなり労力を要したものの)わかったのが、もう少し「在宅復帰率」を高めれば、年間の事業収益として、1,000万円以上の改善が見込めるという事実であった。

ここから、もう少しだけ「在宅復帰率」を高めるということが課題になる。そのための具体的な施策を考えて、実行すれば、年間1,000万円以上もの事業収益が改善される。ここで改善された収益によって、利用者のための自立支援環境を改善したり、従業員の労働条件を改善したりすることもできるのだ。

この時点で「ビジネス」とはこういうことなのかと、ほんの少しだけ実感できた気がした。

アドバイザーの協力を得つつ、課題解決に突入した

先の管理系の最高責任者に、もう少しだけ「在宅復帰率」を高めるという行動が、現在できていない理由を聞いた。その理由は、自分たちの事業の組織体制にまだ弱いところがあって、この「在宅復帰率」を高いレベルで維持することが困難という判断があったからであった。

この「維持する」という部分は、確かにかなり難しい。これを実現するには(1)新規入所者の獲得と(2)在宅復帰プログラムの安定運用の2つが重要になる。ここで(1)の新規入所者の獲得については、介護施設が足りていない今、それほど多くの労力は要しない。本当の課題になるのは(2)の在宅復帰プログラムの安定運用であろう。

そんなことが、自分にできるのかと、正直不安になった。しかしなんと、アドバイザーになっていただいた管理系の最高責任者から「あと少しでクリア出来るハードルであるし、事業収益へのインパクトも大きく、また利用者のためになることなので、チャレンジするべきだ」というお言葉をもらった。

講義で習ったことを実践してみて、はじめて「ビジネス」の実践には、優れた他者からの「勇気づけ」が必要であることを実感した。振り返ってみて、管理者である私は、これまで、部下に対してこうした「勇気づけ」をどれほどしてきたかと思うと、反省するところ大である。

学習とは、行動が変わることである。長年しみついた行動は、意識的にならないと変えていけない。これまで、私は、同じ職場にいる管理系の最高責任者とも、それほどコミュニケーションが取れていなかった。それこそ、ほんの少しだけコミュニケーションを意識すれば、年間で1,000万円以上もの改善が見込めたのに、である。

そして自分で調べてみた

課題は、在宅復帰プログラムの安定運用である。こうした課題を前にしたとき、いきなり自分で考えてはいけないということも、講義で学んでいる。そこで私は、インターネット検索により、この課題の解決方法について調べてみることにした。

あった。当たり前だが、こうしたプログラムの実践に悩んでいるのは、私たちだけではない。そこには、優れた先輩と言える人々が残してくれたノウハウが存在している。こうしたノウハウを無視して、ゼロから自分で考えて、優れた成果など出せるはずもない。

ここで調べたことをまとめ、企画書として、各セクションの管理職と話し合いを持った。その結果(1)職場の各セクションの専門職の知識・経験不足(2)外部との連携の知識・経験不足が、課題解決にとって必要なことであるところまでたどりつけた。

これから、この2つの課題解決に向けて、私の勤務する介護施設の管理職が、目標を1つにすることができた。まだ、実際に年間で1,000万円以上という収益の改善ができたわけではないものの、それに向けた一歩を踏み出すところまで、この2週間でたどり着くことができた。

おわりに

「ビジネス」について理解していないことが、これほどの機会損失につながっていたという事実を認識できた。また、今回、自分が行えたのは、解決すべき課題の提案というところまでにすぎない。成果は、まだ出ていない。

しかしながら、こうして「ビジネス」について学習した結果、誰かの役に立つということは、私にとって理想ではなく、もはや義務であると感じた。これが、とても大きい収穫であった。

無料で、このような講義を受けることができているのも、忙しい中で管理系の最高責任者に時間を作ってもらえたのも、彼らが、私の将来の「ビジネス」に期待してくれたからである。この期待にこたえることは、他者の貴重な時間をいただいた私にとって、当然、返却すべき負債なのだ。

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