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【介護の心理学4】ツァイガルニック効果(Zeigarnik effect)

ツァイガルニック効果(Zeigarnik effect)

ツァイガルニック効果(Zeigarnik effect)とは?

「ツァイガルニック効果(Zeigarnik effect)」は、旧ソビエトの心理学者ブルーマ・ツァイガルニック(Bluma Zeigarnik)によって提唱された概念です。日本語では「中断効果」とも呼ばれることがあります。

人間は、なにかの話を聞いたりしているとき、それが中断されると、その続きが知りたくなります。正確には、達成されていない課題のほうが、達成された課題よりも記憶に残りやすいという、認知心理学上の発見です。

なんらかの課題がある状態というのは、人間にとってストレスになります。そのストレスから逃れようとして、課題に向き合うのです。そのぶんだけ、課題と向き合うことになりますから、記憶にも刷り込まれやすいというわけです。

逆に、達成されてしまった課題は、いちいち覚えておく必要はありません。そこになにか、新たに起こすべきアクションもありません。それよりも、まだ達成されていない課題に向かったほうが生産的ですし、それに力を注いだほうが、よりよい将来が得られるでしょう。

たとえば、なんらかの試験を受けたときのことを思い出してください。試験前には覚えていたことが、試験後にはすっかり忘れてしまったりするでしょう。試験を突破することが目的であれば、それが達成されてしまえば、覚えておく必要がないからです(本当は、覚えておいたほうがよいのですが)。

また、成就した恋愛よりも、失恋したことのほうが記憶に残っていたりもします。勝った記憶よりも、負けた記憶のほうが鮮明でしょう。ずっと昔の話であっても、恥ずかしい失敗の記憶は、いつまでもつきまといます。

こうした「ツァイガルニック効果」は、マーケティングにも応用されています。いいところで話を中断して「続きはWEBで」とか「続きはCMの後で」といった言葉を加えると、ついつい、先が気になってしまいますよね。ドラマやアニメも、これからという場面で「つづく」となるのも「ツァイガルニック効果」を考えて設計されています。

なお「ツァイガルニック効果」というのは、なかなか覚えにくい名前なのですが「ツァイガルニック → ズワイガニ」と連想しておくと、意外と忘れません。

介護の現場にもあるツァイガルニック効果

以下、介護の現場で見られる「ツァイガルニック効果」とその対策について3つほどピックアップして考えてみます。これ以外にも、たくさんあるので、それぞれに考えてみてください。

1. 自分の介護に自信が持てなくなる

そもそも介護とは、終わりの見えないプロジェクトです。介護自体が、達成されるということがない取り組みだとすると、そこに「ツァイガルニック効果」が生まれやすいのは当然です。

これはある意味で、ずっと負けているようなものです。特に、自分の中に「理想の介護」がイメージされていたりすると、この感覚も強くなります。しかも、それが記憶に残りやすいとなれば、自分の介護に自信が持てなくなって当然でしょう。

対策としては、やはり「理想の介護」という考え方を捨てるのが、一番大きなものになります。無理をしない、孤立しない、抱え込まない、サボるところはサボる、お願いするところはお願いするといったことが、どうしても必要です。

2. 要介護者がふさぎ込んでしまう

心身になんらかの課題を抱えている要介護者は、そのこと自体に「ツァイガルニック効果」が発生しやすくなります。気にしないことが大事だと言われても、どうしても、課題にばかり意識がいってしまうのは「ツァイガルニック効果」そのものです。

しかし、そうした心身の課題は、そうそう解決したりしません。むしろ、夢にまでみてしまうのも普通です。しかし、そのままの状態でいると、要介護者はふさぎ込んでしまいます。抑うつ状態(うつ病の一歩手前)にもなってしまうかもしれません。

対策になるのは、自分がそうした状態になるのは「ツァイガルニック効果」があるからだと認識することです。その上で、心身の課題によって「できなくなってしまったこと」にとらわれてしまうのは仕方がありません。だからこそ、意識して「まだできること」に注目するようにすべきなのです。

3. 介護職として続けていけないと感じてしまう

介護職がつらいのは、いかに要介護者と仲良くなっても、必ず「最後」が来てしまうことです。しかも、そうした経験を多数することになるので、いつも「もっと、こうしてあげればよかった・・・」という感情を抱きやすくなります。

どんなに頑張っても、いつかはお別れが来てしまうので、どうしても「やるべきことを、やりきれなかった」という気持ちにとらわれます。そこには「ツァイガルニック効果」が働いてしまうので、そうした気持ちばかりが記憶に残ってしまうのです。

抜本的な対策はありませんが、それでもやはり「ツァイガルニック効果」の存在を認識することが大事です。その上で、意識して「自分が貢献できたこと」を列挙していかないと、ネガティブな感情から脱出できなくなってしまいます。

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