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【介護の心理学22】ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)と介護の勉強について

ダニング=クルーガー効果(Dunning–Kruger effect)

ダニング=クルーガー効果とは?

ダニング=クルーガー効果とは、自分自身を客観的に観察する力が養われていない人が、自分のことを現実よりも高く評価してしまう心理的なバイアスを指す言葉です。「検索があるから、知識はいらない」といった、特に、インターネット検索の登場以降に注目され、広く問題視されはじめています。

なにか知りたいことがあれば、検索をするという行為は、たしかに、私たちの生活を豊かにしました。同時に、インターネットさえあれば、勉強しなくてもなんとかなるという誤解もまた広げてしまったという見方があります。

インターネットは、知識のない未熟な人に対して、知識を授けるツールではありません。そもそも言葉を知らなければ、検索をすることができないからです。なんとなくの思いつきで検索をすれば、質の低い知識しか得られないという、むしろ知識の格差を広げるようなツールにすらなってきています。

この格差の前提となるのは(1)自分は知らないという認識(2)知りたいという好奇心(3)情報の信頼性を判断するリテラシー、の3つだと考えられます。これらは、勉強をすることを通してのみ向上していくものであり、その前提がそろっている人にとってインターネットはポジティブな魔法の箱になり得ます。

しかし、これらの前提がそろっていない人にとっては、インターネットは、ダニング=クルーガー効果を助長する可能性があるのです。「困ったことがあっても、インターネットがあれば大丈夫」という認識になってしまえば、インターネットは自分の勉強の手段ではなく、自分の能力を肩代わりしてくれるものに感じられてしまうからです。

介護についても絶対に勉強が必要

介護についての知識があれば、介護の負担はかなり減らすことが可能です。しかし、知識がないと、どうしても介護離職に至りやすいのです。いざ、自分の親に介護が必要になったとして、それから「介護 どうすれば」と検索をしても、本当に必要な知識にはたどり着けません。

そもそも、自分が巻きこまれているのが介護であるという認識を得るだけでも、それなりの知識が必要です。運がよければ、周囲の誰かから「要介護認定を申請したほうがいいよ」と教えてもらえるかもしれません。しかし、そうしたアドバイスが受けられないまま「要介護認定」という言葉さえ知らないと、どうなるでしょう。

もしかしたら、掲示板に書き込むことで、問題の解決には近づけるかもしれません。しかし「自分が何がわからないのか」ということがわからない状態で、的確な質問ができるでしょうか。非常に危険だと言わざるを得ません。

病気でも、介護でも、問題の早期発見と早期対応が重要になります。病気については、自覚症状が出たり、健康診断の結果などから、病院に行けばなんとかなることも多いでしょう(本当は知識をつけて予防することが大事なのですが)。しかし、介護というのは、どこからが介護なのかの判断も難しいものです。

そもそも、40歳以降であれば、誰もが強制的に介護保険料を徴収されています。それがどうしてなのか知らないという人は、掛け金を支払ってきたにも関わらず、正しく保険を使うことができないでしょう。もはやどうにもならないという状況になってから、一生懸命インターネット検索をしても手遅れという可能性もあります。

介護についてしっかり勉強をしよう!

とにかく、ほとんどの人が、人生のどこかで、介護に関わることになります。「そのときになってからインターネット検索をすればなんとかなるだろう」という認識は、まさに、ダニング=クルーガー効果そのものです。

すでに日本では、認知症サポーターの数が、合計で900万人を超えています(2017年9月30日の時点で9,396,047人)。人口の10%にも満たない数字ですが、少しずつ、介護についての知識を持った人も増えてきています。

介護の知識について自信がない人は、一度は、暮らしている自治体が主催する介護セミナーなどに足を運んでみてください。それこそ、認知症サポーター養成講座でもよいでしょう。いつの時代も、インターネットの有る無しに関わらず「知は力なり」なのです。

※参考文献
・ウィリアム・パウンドストーン, 『クラウド時代の思考術―Googleが教えてくれないただひとつのこと―』, 青土社, 2017年1月25日

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