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【介護の心理学21】シャーデンフロイデ(schadenfreude)と著名人の不倫

シャーデンフロイデ(schadenfreude)とメディアの責任

シャーデンフロイデ(schadenfreude)とは?

シャーデンフロイデ(schadenfreude)とは、ドイツ語で「他人の不幸を喜ぶ感情」の意味です。日本でも「他人の不幸は蜜の味」と言いますが、これは、世界でも広く確認されている人間の心理的な傾向なのです。嫌な話ですが、事実です。

シャーデンフロイデは(1)他者に不幸になった責任がそれ相応であると感じられ(2)不幸の程度がそれほど深刻ではなく(3)ターゲットとなる人物の社会的ステータスが高い、という条件が整ったときに強くなります。著名人の不倫が人気のトピックになる背景には、このシャーデンフロイデがあるのです。

なお、シャーデンフロイデの感情は、一般の人間にとって、正直に公言しにくいものです。このため、通常のアンケートなどでも正直に答えてもらえない可能性が高く、研究には特別な注意が必要になります。こうした配慮が必要なところも、シャーデンフロイデのミステリアスさを強調して、興味深いですね。

自尊心がシャーデンフロイデに影響する

たとえば、自尊心が高い人は、他者の成功に際しても嫉妬の感情を抑制することができます。これによって、シャーデンフロイデも低く抑えることができるようです。自分の人生を肯定的にとらえており、余裕があれば、他者の不幸を喜ぶ必要もないということなのでしょう。

逆に、自尊心が低い人は、特にその背景となる自身の問題を認識しているとき、シャーデンフロイデが高まることが指摘されています。不倫は非常に悪いことではありますが、いちいち著名人の不倫ばかりを話題にする人は、自分の人生に課題を抱えているということかもしれません。

近年の日本では、テレビのワイドショーのみならず、本来は社会問題を話題にすべきニュースでさえも、著名人の不倫が大好物という様相を呈していますね。これは、日本の社会に不幸が蔓延しつつあることを間接的に示しています。だからこそ、そうした日本における真の議題は、蔓延しつつある不幸、すなわち2極化なのです。

著名人の不倫ではなく社会福祉の衰退を報道すべきだ

当たり前の話なのですが、シャーデンフロイデの少ない社会を築くことが大切です。そのとき、シャーデンフロイデを煽って視聴率をとろうとするメディアは、社会の敵と言ってしまってもよいくらい深刻な害悪を撒き散らしています。

今の日本に必要なのは、後退しつつある社会福祉に関する報道であり、その改善策を吟味するメディアでしょう。それでは儲からないというメディアの本音もわかります。しかし、そもそも日本のテレビは事実上の独占状態にあるわけで、社会的な責任が大きいというところは認識されてしかるべきです。

言論の自由は保証されるべきですが、あまりにもシャーデンフロイデを狙った報道の多いメディアには、ペナルティーがあってもよいように思います。現代の日本には、著名人の不倫よりも重要な話題が多数あります。こんなことを指摘しなければならない現状は、本当に残念です。

※参考文献
・藤井 勉, 澤田 匡人, 『自尊感情とシャーデンフロイデ:―潜在連合テストを用いた関連性の検討―』, 感情心理学研究 21(3), 114-123, 2014

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