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都道府県が、介護職の人材確保に「数値目標」(ニュースを考える)

数値目標

厚労省のイニシアチブ・・・やはり、足りていない

ご存知のとおり、介護業界は人手不足です。その理由は(1)仕事のストレスが大きいこと(2)報酬があまりに安いこと、の2点です。(1)仕事のストレスは、そもそも人手不足も原因です。となると、本気で状況を改善するのであれば(2)報酬を改善するというのが保守本流です。

厚労省は、介護職の人材確保のために、都道府県に「数値目標」を課しました。その内容に関して、朝日新聞がニュース(2016年2月2日)にしています。以下、その一部を引用します。

厚生労働省は、人手不足が深刻な介護職員の確保策について、各都道府県に数値目標を設けてもらうことを決めた。(中略)数値目標は、若者を勧誘するための学校訪問件数、介護福祉士を目指す学生の学費や経験者の再就職準備金の貸付件数、職員の離職防止のための介護事業所内保育所の整備数といった項目が対象。

この「数値目標」の方向性は、間違っている

厚労省の心意気はわかります。介護業界の人材不足をなんとかしたいという、その想いはよいです。そのために、都道府県に「数値目標」を立てるというのも、よいです。

ただ、その中身が、よくないです。都道府県に課すべきなのは、介護職の報酬に「数値目標」を立てることです。年間平均で何%の給与上昇とするか、平均年収はいくらとするか、そうした本丸に「数値目標」を立てないと、意味がありません(放っておくとトリクルダウンが期待できないため)。

いや、意味がないどころか、害悪です。先のニュースによれば、今の「数値目標」は「若者を勧誘するための学校訪問件数、介護福祉士を目指す学生の学費や経験者の再就職準備金の貸付件数、職員の離職防止のための介護事業所内保育所の整備数」といったことのようです。

・・・これ、ぜんぶに、お金がかかります。都道府県は、学校を訪問するためにお金を使い、学生の学費や再就職準備金にお金を使い、介護事業所内の保育所のためにお金を使います。そこじゃなくて、介護職の報酬のために、お金をつかうべきなのに、です。

余計な「数値目標」を達成するためにお金が使われるのは、ダメです。繰り返しになりますが、本当に「数値目標」が必要なのは、介護職の報酬改善に関するところです。

厚労省の「数値目標」には、安倍首相のコミットが入っていない

安倍首相は、2016年1月29日に総理大臣官邸で開かれた一億総活躍国民会議(第4回)にて、介護職の報酬改善についてコミットしました。「総活躍プランでは、保育・介護人材の確保のための介護職及び保育士の待遇改善を取り上げます」という言及です(首相官邸サイトより)。

しかし、今回の厚労省による「数値目標」には、どういうわけか、この安倍首相によるコミットの部分(介護職の報酬改善)が、抜け落ちています。総理大臣による方針が、厚労省のところで曲がってしまっているとするなら、問題です。

みんなで、声をそろえて、介護職の報酬改善を訴えかけていきましょう。報酬が改善されれば、学校訪問などしなくても学生が集まりますし、再就職準備金などいりませんし、保育所も好きなところを選べます。政府を、介護業界の課題の本丸から逃がさないようにしないとなりません。

財源は、増税、高すぎる地方議員の報酬カット、公務員の総人件費抑制です。これに、介護職の福利厚生(公務員宿舎を使えるようにしたり、公共料金を安くしたり、税金を安くしたりといったこと)の向上を合わせることを検討してもらいたいです。

※参考文献
・朝日新聞, 『介護職員の確保策、都道府県が数値目標設定へ 厚労省』, 2016年2月2日
・首相官邸, 『一億総活躍国民会議』, 2016年1月29日

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