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地方議員を無給にして、それを介護職の待遇改善の財源としたらどうだろう?

地方議員を無給に

青森県平川市では15人もの議員(定数20に対して75%)が逮捕されました。兵庫県では、出張費をごまかしてテレビカメラの前で号泣する議員が登場し、さらに毎日のように、地方議員のパワハラやセクハラのニュースが入ってきます。こうした「おかしな地方議員」が生まれてしまうのは何故なのでしょう。

日本の地方議員は、世界の国々と比較しても「高給取り」

スイス、イギリス、フランス、スウェーデンなどは、地方議員は「原則無給」です。世界的に考えると、地方議員とは名誉職なのです。交通費などが支給されるだけで、基本的にボランティアで行うべき仕事と考えられています。資本主義大国であるアメリカでさえ、地方議員の月間報酬は約4万円程度(年収約50万円)です。

これに対して、日本の地方議員は「高給取り」でず。例えば、都道府県議の月額報酬の平均は約80万円(年収約1,000万円)です。市議が約40万円(年収約500万円)、町村議で約21万円(年収約250万円)となっています。

こうした話をすると「ボランティアでは、お金持ちしか議員になれなくなってしまう」という反論があります。しかし地方議会は、年間で平均90日程度(町村議会は平均40日程度)しか開かれていません。国会が平均200日以上であるのとは比較になりません。実際に、日本の地方議員の身分は「非常勤」の地方公務員となっています。

海外の場合では、地方議会は、平日の夜間や週末に開かれるのが一般的です。最近は日本でも「市民が議会を聴講できるように」という意図から、議会は夜間と休日に開くべきという機運が高まってきています。

現実として専任の地方議員というのは、世界的に見てもほとんどいないわけです。議会が開催されているとき以外は、他に自分のための仕事をしているわけです。世界の国々で「原則無給」で回せているわけですし、地方議員は、ボランティアでもこなせる仕事と考えて間違いありません。

日本の地方議員は数が多のに、条例などの立法は皆無という現実

日本の地方議員の数は、アメリカと比較して、国民一人当たりで約5倍の人数がいると言われています。その総数、なんと3万5千人です。それだけの人数がいて、実際に何が行われているのでしょう。

議会の仕事は、大きく言って(1)条例の制定・改正(2)予算の認定、の2つです。しかし、日本の地方議会においては、議員提案の政策条例がゼロという「無提案」議会と、首長が提出する予算などの議案に対して修正も否決もしない「丸呑み」議会が大半です。

「無提案」と「丸呑み」であれば、議会において「ただ座っているだけ(もしくは寝ているだけ)」です。日本の地方議員というのは「甘い蜜」であり、中身がないと考えられても仕方がない状態なわけです。

そうした人が、日本に3万5千人います。もちろん、優れた地方議員がいるのも事実です。ただ、世界の国々のように、そうした仕事は、名誉職として「無給」で行ってもよいはずです。そのほうが、志のある、立派な人だけが地方議員になるでしょう。

むしろ、日本の地方議員という身分が「甘い蜜」だからこそ、最近よくニュースになるような「おかしな地方議員」が生まれていると考えたほうが自然です。青森県平川市では15人もの議員(定数20に対して75%)が逮捕されました。兵庫県では、出張費をごまかしてテレビカメラの前で号泣する議員が登場し、さらに毎日のように、地方議員のパワハラやセクハラのニュースが入ってきます。

地方議員3万5千人の報酬は年間約3,000億円

日本に地方議員3万5千人の報酬をあわせると、年間で約3,000億円程度と考えられています。これを、世界の国々と同じように「原則無給」にして、介護職員の待遇改善の財源として使うことを提案します。

現在の介護職員の総数は、非常勤も含めて、約180万人くらいです。3,000億円を、この180万人で分けた場合、1人あたりの年収にして約17万円を増額できます。ただ増額するのではなく、介護職員の経験や能力を考えて配分すれば、人員不足に悩まされる介護業界の活性化にもつながるでしょう。

「原則無給」が難しいなら、アメリカの5倍いるという定数を削減してもらいたいです。アメリカ並みとすれば、年間2,400億円の財源ができます。これによって、介護職員の年収を1人あたりで約13万円増額できます。

まとめ

・世界的には地方議員は「原則無給」だが、日本では「高給取り」である
・仕事としては平日の夜間と週末で十分に対応できる内容である(ボランティアでやれる根拠)
・日本の地方議会では「無提案」と「丸呑み」が常態化している(仕事をしていない)
・日本の地方議員の数は、国民一人当たりにしてアメリカの5倍にもなる
・日本の地方議員も「原則無給」にして、それを介護職員の待遇改善の財源とすべき

※参考文献
・NEWSポストセブン, 『日本の地方議員 人数も高給ぶりも他の先進国と比べて段違い』, 2015年4月17日
・竹中平蔵のポリシー・スクール, 『地方議会を夜間・休日に』, 2015年4月20日
 

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