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義理の親の介護をした場合の相続に法改正が(特別寄与制度)

義理の親の介護をした場合の相続に法改正が(特別寄与制度)

40年ぶりの法改正

相続に関する法律が、40年ぶりに法改正となっています(2019年1月13日から)。これによって、かつて存在していた、義理の親の介護をした場合の、相続上の不利益に、ひとつの改善が進んだことになります。

かつては、義理の親の介護をした場合でも、その親の財産を相続する権利は発生しないという不都合がありました。義理の親に対して、献身的で自己犠牲的な介護を行っても、義理の親の死後に、その財産を相続することができなかったのです。これは、相続における「漏れ」として、長く問題視されてきました。

これが、今後は「特別寄与制度」として整備され、相続の時に、義理の親の介護への貢献分を請求できるようになります。ただ、これはあくまでも請求権であり、その財産分与を保証するものではないところで、批判があることは知っておく必要があるでしょう。

もめない相続はない

そもそも、これまでも、相続する権利が自然に発生する兄弟姉妹(法定相続人)などの間でも、もめない相続など存在しないような状況がありました。ここに新たに、相続する権利を主張する存在が1人加わるわけで、いかに「特別寄与制度」が設定されたからといって、それで「めでたし、めでたし」とはなりません。

特に「特別寄与制度」は、これからはじまる制度であり、裁判事例もありません。また、義理の親を介護した人は、法定相続人になるわけではなく、あくまでも、法定相続人に対して、自分の取り分を請求できるという立場にすぎないのです。この取り分を決めるのは、法定相続人です。

そうなると、義理の親の介護を献身的に行っても、法定相続人がそれを認めてくれなければ、遺産を受け取る段階で、相当もめることになるでしょう。確かに「特別寄与制度」の開始は、問題の改善のはじまりではありますが、全く安心できないのです。

実務的には、過去とほとんど変わらないと考えておく

これまでも、寄与分といって、微々たるものですが、介護に関わった部分を請求することができていました。これが「特別寄与制度」として新たに強化されたとはいえ、まだ裁判事例もないわけで、期待しすぎると落胆することにもなりかねません。

結局のところ、新たな制度がはじまっても、自衛のために(1)介護の記録を詳細に残しておく(2)法定相続人との関係を良好なものにしておく、という2つの対策を怠っていては、正当な相続を受けることはできないと考えておくべきです。

可能であれば、今後は、税理士や弁護士などの専門家に相談しながら、そうした記録に不備がないかどうかを確認していくことも大事です。そうした余裕がない場合でも、ニュースなどで「特別寄与制度」の結果として得られる相続の相場感を持っておきたいところです。

※参考文献
・井上寧法律事務所, 『義父母の介護が報われます。「特別寄与料の請求権」の新設~相続税をわかりやすく』, 2018年10月19日
・AREA dot., 『義理の親の介護で金銭要求、制度的に可能でも…しづらい現実』, 2019年1月23日

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