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低所得高齢者の医療費軽減がカットされる。残念なことではあるけれど・・・

低所得高齢者の医療費軽減がカットされる。残念なことではあるけれど・・・

後期高齢者医療制度が廃止される?

後期高齢者医療制度とは、75歳以上の後期高齢者(障害認定者は65歳以上)の医療費の自己負担を、原則として1割とする制度です。ただし、現役並みの所得がある人は、現役世代と同様に3割負担となります。

この制度が、2019年10月をめどに、廃止される方向で検討が開始されています。廃止されると、人によっては、医療費として支払っている金額が3倍になるという話であり、そうそう容認できることでもないでしょう。また、なんらかの病気に苦しんでいる75歳以上の家族を持つ人も、金銭的に苦しくなることは必至です。

また、この制度の廃止が検討されている2019年10月というと、ちょうど、消費税も10%に上げられるときになります。十分な貯蓄のない、年金も心もとない高齢者は、これを想定して、いまから生活規模の縮小に準備しないとならないでしょう。

苦しい判断だが仕方がない側面も多い

そもそも、医療費の自己負担が3割というのは、日本では6歳〜69歳に適用されているものです。6歳〜19歳の子供であっても、3割を負担しています。こうした中、一部の高齢者だけが、自己負担割合が小さいというのは、おかしな話です。ある種の年齢差別とも言えます。

今回の廃止が実現されると、影響を受けるのは約740万人の高齢者ということになります(共同通信, 2018年)。それはもちろん、大変なことでしょう。しかし、これまでの状態が、高齢者の優遇措置になっていて、他の年齢層と比較しても、飛び抜けて有利な条件であったということは忘れられるべきではありません。

このニュースを、少なからぬメディアは「弱者切り捨て」と批判しています。しかし、それは少し違うと思います。年金の受給額も含めて、いまの高齢者は、他の世代に比べて、圧倒的に優遇されています。今後確実に衰退する日本の将来を考えたとき、いまの高齢者だけを優遇することはできないのは仕方ありません。

本当のあるべき姿とは?

まず、医療費については、年齢差別はおかしな話です。仮に、そうした優遇措置を考えるのであれば、少子化対策として、子供の医療費については優遇措置があってもいいかもしれません。しかし、それ以上の年齢差別は、おかしな話です。

本来であれば、長期的に治療が必要な人で、お金の心配がある人をピンポイントで救う制度が必要なはずです。高額療養費制度や生活保護がきちんと機能していれば、そうした人々は、仮に医療費の自己負担が大きくなったとしても、その影響を受けません。

今後の日本を考えると、現在、3割という自己負担部分は、4割以上になっていく可能性もあります。これは、介護保険制度でも同じことで、現在、原則として1割に設定されている自己負担部分は、今後、高められていく可能性が高いと考えておいたほうがよいのは言うまでもありません。

問題は、そうして自己負担部分が上げられていくのと同時に、低所得者であっても、必要な医療や介護が受けられるようなセーフティーネットを整備することです。本当に必要な人に、必要な分だけ補助を与える仕組みの構築が、いまこそ求められています。

※参考文献
・共同通信, 『低所得高齢者への医療費軽減の特例措置を廃止へ 約740万人が負担増加』, 2018年12月8日

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