閉じる

デフレの中、高齢者の生活だけはインフレしている?

デフレの中、高齢者の生活だけはインフレしている?

デフレ脱却が叫ばれてきたが・・・

日本は、長いこと、デフレ(デフレーション=物価の下落)に苦しんできました。物価が下がることは、一見、良いことのように感じられるかもしれません。しかし現実には、安い物しか売れないということを意味しており、それだけ、企業経営は苦しくなります。

企業経営が苦しくなるということは、賃金も伸び悩むということです。賃金が伸び悩めば、また、安い物しか売れなくなります。結果として、デフレは続いてしまうのです。実際に、そうしてデフレが続いた結果、日本の二極化は進み、貧困も深刻化し、閉塞感が蔓延するようにもなってしまいました。

政府もこれを問題視し、なんとか、デフレを終わらせようと、様々な努力をしてきました。しかし、そうした努力も虚しく、今もなお日本はデフレから脱却できないでいます。これを、日本最大のリスクとする論もあるほど、デフレの長期化は、本当に危険なことなのです。

高齢者に限ってはデフレは終わっている?

しかしここに、ニッセイ基礎研究所の衝撃的なレポートが登場しました。日本全体としてはデフレなのに、高齢者に限っては、デフレどころかインフレ(インフレーション=物価の上昇)になっているというのです。マネーポストWEBの記事(2018年9月6日)より、一部引用します(改行位置のみKAIGO LABにて修正)。

ニッセイ基礎研究所が今年6月に〈高齢者を直撃する物価上昇~世代間で格差~〉と題する衝撃的な内容のレポートを公表した。消費者物価指数の変動について、年齢層を3つに分けて調べると、世代によって大きな違いがあり、2014~2017年の4年間で39歳以下の上昇率が3.7%だったのに対し、60歳以上では5.5%となったという。

日本全体ではデフレとされているが、高齢者に限ってみたらインフレとなっていたのだ。理由は、消費志向の違いにある。

どんなものにお金を使うことが多いのか、という消費ウエイトで見ていくと、60歳以上が比重を多く置いている生鮮食品、住居の修繕費用、交通・通信のうち固定電話料金などが、全体を平均した物価上昇率を上回っていた。高齢者はそこに保険料アップや年金減などが重なり、負担増の流れは止まりそうにない。(後略)

高齢者の立場から今の日本を見ると

この話を簡単にすると、高齢者の立場から今の日本を見ると(1)物価が上がり貯蓄や年金が目減りしている(2)働こうとしても賃金は下落している、ということになります。もちろん、現役世代にとっても、今と将来の日本は、非常に厳しいものです。しかし一般に言われるように、高齢者は楽というわけでもなさそうです。

もし、高齢者が比較的楽なのであれば、高齢者に我慢してもらうことで、現役世代を楽にするという施策もありえます。しかし、高齢者もまた相当に厳しいとするなら、日本には残されている財源がないということになります。そしてどうやら、高齢者もまた、一般に信じられている以上に厳しいというのが現実のようです。

長期的なデフレによって、日本は急速に貧しくなってしまったのです。貧しい人々の消費に依存するということは、どうしても、利益が確保できないということにもなります。それがまた、デフレを日本に定着させてしまっています。そして、残念な話なのですが、介護をはじめとした社会福祉にはお金がかかるのです。

せめてイノベーションを阻害しない社会の構築が急務

成り行きでは、今後の日本に希望はありません。こうした状況を打破するのが、イノベーションの定義であり、社会的な意義であるとするならば、今の日本には、死活問題として、イノベーションが求められています。

しかし、日本には、イノベーションを阻害するような仕組みは多数あるのですが、イノベーションを促進する場としての日本は、世界に10年以上は遅れています。イノベーションもまた確率論であるとするならば、せめて、イノベーションを阻害しないような社会の構築が急務のはずです。

たとえば、学力の高い子供には、特別なメンターをつけて、どんどん飛び級させるような仕組みが必要です。起業のための基本的な知識は、高校生くらいのころから無償提供し、本業を持っていても、副業として起業しやすい社会的な仕組みも必要でしょう。社会として、攻めのリスクを負うことが、日本に残されている最後の希望なのです。

※参考文献
・マネーポストWEB, 『インフレや年金減に見舞われる高齢者 節約にどう取り組むべきか』, 2018年9月6日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由