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認知症患者の資産、2030年度には200兆円を突破する?

認知症患者の資産、2030年度には200兆円を突破する?

認知症患者の資産が増え続けている

認知症に苦しむ人が増えています。2030年には、認知症患者は830万人(総人口の7%)にもなると予想されています。認知症患者の数が増えるため、認知症患者の保有する資産も増えていきます。この規模が尋常ではないのです。以下、日本経済新聞の記事(2018年8月26日)より、一部引用します。

高齢化の進展で認知症患者が保有する金融資産が増え続けている。2030年度には今の1.5倍の215兆円に達し、家計金融資産全体の1割を突破しそうだ。認知症になると資産活用の意思表示が難しくなり、お金が社会に回りにくくなる。(中略)

「やはり引き出しは難しいですか」。今春、東京都内の信用金庫で50代の男性会社員は困惑していた。80代の父親は認知症と診断され、老人ホームに入居している。男性は父の入院治療費を支払うため、父名義の口座から約60万円を引き出そうと相談に訪れていた。

「ご本人の意思確認ができない状況では支払いに応じられません」。信金の担当者はこう伝えた。金融機関の立場では家族による横領を防ぐための当然の対応だが、本人のためでもお金が使えず、預金が凍結状態になるケースが目立ってきている。(後略)

介護をする家族が困るだけではない

まず、認知症患者の資産が実質的に凍結されてしまうと、介護をする家族は、家計的に苦しくなります。介護に必要となる様々な費用が、要介護者のお金からは支払われなくなるからです。それでもなんとか家計が回ればよいのですが、破綻してしまえば大変なことになります。

そして、こうして認知症患者の資産が凍結されると、困るのは、介護をする家族だけではありません。それが200兆円にもなると、お金が社会に回らなくなり、経済が停滞してしまう可能性もあるわけです。結果として景気が悪化し、失業者が増え、税収も低下してしまえば、社会保障まで破綻しかねません。

2030年に830万人とも言われる認知症患者の数には、認知症一歩手前の軽度認知障害(MCI)は含まれていません。この軽度認知障害まで含めると、2025年の時点でも1,300万人にもなるという試算まで存在します。これは本当に大きな問題であり、いままさに、具体的な対策が求められるのです。

認知症患者が多数いることを想定して

いますぐ、認知症患者が多数いることを想定し、法律やガイドラインを整備していかないとなりません。実質的に凍結されてしまう資産のことだけではありません。認知症患者が起こしてしまった事故の責任をどうするのか、ハラスメントをどう回避するのか、差別や虐待からどう守るのか、対策が待たれる問題は山積みです。

こうしたことを議論するときは、自分自身が認知症になる未来を構想する必要があります。どこかの他人の話ではなく、私たち自身の人生の話として考えないとならないほど、認知症になることは当たり前のことになっていきます。

もちろん、認知症の根本治療ができるようになれば素晴らしいのです。しかし、認知症というのは症状の名前であって、その原因となる病気は100種類以上もあると言われます。認知症患者がゼロになるのは、ずっとずっと未来の話です。私たちは、認知症患者になっても、幸福に生きられる社会を実現していく必要があるのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『認知症患者、金融資産200兆円に マネー凍結リスク』, 2018年8月26日

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