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介護保険料の滞納による「差し押さえ」が増えている・・・

介護保険料の滞納による「差し押さえ」が増えている・・・

介護保険料の滞納は低所得の高齢者に集中する

介護保険料の納付は、40歳以上の現役世代であれば、給与から天引きされます。現役を退いている高齢者であっても(基本的似は)年間18万円以上の年金をもらっている場合、年金から自動的似天引き(特別徴収)されることになっています。

つまり、そもそも介護保険料の滞納というのは、年間18万円にも満たない年金しかもらえない(または年金をまったくもらっていない)高齢者しか起こし得ないことなのです。そうした人は、自分で、金融機関などで介護保険料を納付しなければならない(普通徴収)ことになっています。

ここから、そもそも介護保険料の滞納という問題は、貧困問題であることは明白でしょう。そして、そんな介護保険料の滞納は、2016年度において全国で1万6千人にもなり、過去最多となったことが報道されました(毎日新聞, 2018年7月28日)。

不健康であることと低所得であることは相関する

介護保険料を滞納してしまう人の健康状態は、一般の高齢者よりも悪いことがわかっています(高橋, 2010年)。特に、こうした高齢者が要介護となる場合の、初回の要介護認定度は、優位似高くなるケースが指摘されています。これは、介護サービスを受けるのを、ギリギリまで我慢をしているということです。

年間18万円にも満たない年金しかもらえていないのは、もしかしたら、ずっと病気を患っていて、社会参加ができていなかった人かもしれません。病気が原因で低所得となり、結果として介護保険料の滞納となり、差し押さえまで行ってしまっている可能性も否定できないのです。

そうして差し押さえになると、介護保険による介護サービスの利用も制限されます。こうなれば、全額自己負担となるわけです。しかし、そもそも年間18万円に満たない年金しかもらえていない高齢者が、全額自己負担ができるでしょうか。これでは制度として、社会福祉になっていないと思います。

1万6千人の高齢者はどうしているのか?

2016年度に1万6千人にも登ったという、介護保険料の滞納者は、どうしているのでしょうか。もちろん、滞納するすべての人が要介護者ではないでしょう。それでも、その中には、介護が必要なのに、通常の介護サービスが受けられていない人も含まれるはずです。

場合によっては、こうした高齢者は、善意にあふれた介護事業者によって、支援されているかもしれません。しかし、介護事業者の倒産件数は、毎年過去最高を記録しているような状況です。そのような善意にあふれた介護事業者のほうが、経営的にも厳しく、倒産しやすいはずです。

日本の社会福祉は、本当に、支援が必要な人のところに、必要な支援が届くようになっているでしょうか。そうなっていないことの証明が、この、介護保険料の滞納という問題に現れてはいないでしょうか。日本の社会福祉は変わらないとなりません。

※参考文献
・毎日新聞, 『滞納 介護保険料の差し押さえ最多』, 2018年7月28日
・高橋 和行, 『介護保険料滞納者にみる高齢者の経済格差と健康格差に関する研究』, 助成研究演題, 平成22年度

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