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低所得(生活保護世帯)であるほどに、介護のための時間が長時間になるのは・・・

低所得(生活保護世帯)であるほどに、介護のための時間が長時間になるのは・・・

介護の負担は、所得と関係している?

介護の負担が、所得と関係している可能性が出てきました。普通に考えたら、お金がなければ、介護サービスの自己負担部分が支払えませんから、それはそうだろうと感じます。ただ、この背景には、お金とは別の問題もありそうなのです。まずは以下、毎日新聞の記事(2018年7月15日)より、一部引用します。

高齢者が高齢者を介護する「老老介護」では、低所得層ほど介護が長時間に及ぶ傾向があることが、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)の調査で分かった。

生活保護受給世帯の高齢者は、年間所得が318万円以上の世帯に比べ、週72時間以上家族を介護する可能性が約2.7倍だった。行政から外部サービスに関する情報が入りにくかったり、身近に相談できる人がおらず、孤立していたりする恐れがある。(後略)

この毎日新聞の記事が伝えるところを読み解けば、生活保護世帯における老老介護は、普通の状態ではないことがわかります。かなり配慮をした書き方になっていますが、これは要するに、本来であれば利用すべき介護サービスが、生活保護世帯では使われていないことを示唆しているでしょう。

情報不足や孤立という言葉では見えにくいが・・・

あくまでも仮説ですが、このニュースには(1)生活保護を受けながら、さらに介護サービスまで税金で使うということに対する後ろめたさがある?(2)なんらかの問題により複雑すぎる介護サービスの仕組みや使い方がわからない?(3)財源にシビアにならざるをえない行政として積極的にはなれない?といった背景が考えられます。

どれも一筋縄ではいかない問題です。しかし、生活保護の受給世帯だからといって、介護サービスが使えないのはおかしなことです。誰もが、運が悪ければ生活保護を受給する可能性があります。そもそも生活保護の受給は正当な権利です。ただでさえ、日本の生活保護の受給状態は諸外国と比較してもよくないのに、これは大きな問題でしょう。

また、こうした状態を放置しておくと、結果として、介護がより重くなり、より多くの公費が必要になる可能性もあります。介護の重度化を避けるためにも、できる限り早く、介護の専門職による介護が届けられる必要があります。

老老介護は私たちの未来でもある

老老介護は、私たち自身の未来でもあります。長生きできた結果として、資産がなくなり、生活保護になる可能性は誰にでもあります。そうなった時に、介護サービスを使うことができないと、本当に困ります。介護の問題は、どこかの誰かの話ではなく、自分自身の未来として考える必要があるのです。

そもそも、ベーシックインカムが導入されれば、ある意味で、誰もが生活保護を受給しているのと同じことになります。人工知能により、人間が仕事をしなくても生きられる未来がやってきた場合でも、介護サービスは必要になります。

いまのうちから、社会的弱者であっても、必要な社会福祉のサービスが堂々と受けられる状態を築いておくことは、本当に重要なことだと思います。本当に誰もが、ほんの少し予定が狂ってしまうだけで、社会的弱者になり得るのが現代社会の特徴です。その認識が、広く求められています。

※参考文献
・毎日新聞, 『老老介護 低所得ほど長時間 国立長寿医療研調査、情報不足や孤立の恐れ』, 2018年7月15日

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