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「市民相続」という概念をご存知ですか?イギリスで進む議論

「市民相続」という概念をご存知ですか?イギリスで進む議論

イギリスで進む「市民相続」の議論

「市民相続」とは、先進国で進む世代間格差を是正するため、若者に対して、まとまったお金を支給するという制度です。この財源は、年金受給者に対する課税によって賄います。イギリスでは、25歳になったら「市民相続」として1万ポンド(約150万円)を支給するという議論がはじまっています。

ただしこの支給には、利用の制限があります。「市民相続」を受けた若者は、そのお金を、子供の教育費、住宅費、起業のための資金、将来のための貯蓄などにしか使うことができないというものです。この線引きは難しいですが「市民相続」は、国の経済に貢献することを意図していることがわかります。

当然、賛否両論あります。実質的にバラマキ政策の一種ですし、1万ポンド程度では、起業のための資金としては少なすぎます。とはいえ、これによって世代間格差が多少は是正されることも事実です。批判されても、バラマキ政策にはそれなりに意味もあるわけで、難しいところです。

日本の世代間格差もひどいことになっている

日本も、他国に輪をかけてひどい世代間格差を抱えています。この問題は(1)貯蓄の少ない若者は自己投資することができない(2)高齢者福祉のために若者の可処分所得が減っている(3)非正規の労働が増えており収入が不安定、といった形で顕在化してきています。

結果として、若者が自己投資することができないことが、最大の問題です。若者は、国の将来を担う存在です。世代間格差は、そんな若者が、勉強したくても勉強できないという環境を生み出してしまうのです。

介護業界の若手人材向けに、無料で経営学を教える KAIGO LAB SCHOOL の活動も、小さいながらも、この問題にチャレンジしています。とはいえ、このような草の根の活動では、大きな流れには対抗できないのも事実でしょう。

日本でも相続税を上げて「市民相続」を進めるべき

イギリスでの議論を受けて、日本でも「市民相続」についての議論を開始すべきでしょう。財源は、相続税の増税しかないと考えられます。また「市民相続」は、お金という形ではなく、資格の取得や各種スクールへの参加といった学習が無料になるといった方向がよいかもしれません。

少子化対策にもなるので、託児所や子供の医療費を無料にしていくようなことも検討すべきでしょう。とにかく、日本の世代間格差もひどいことになっているので、緊急の議論が必要になっています。ただ、そもそも日本にはもはや若者が少なく、多数決がモノを言う民主主義社会では、若者に政治力がありません。

そうした状況で、本当に、相続税の増税ができるのか、非常に難しいところです。しかし、ここで思い切って財政改革を行えなければ、日本の未来は大変なことになってしまいます。せめて、国家レベルでの議論を開始してもらいたいところです。

※参考文献
・Newsweek, 『高齢者の負担で若者に一時金を──「世代間格差」解消へ英シンクタンク』, 2018年5月28日

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