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AAFV(Age-Associated Financial Vulnerability)とはなにか?

AAFV(Age-Associated Financial Vulnerability)とはなにか?

認知能力が低下すると詐欺に引っかかりやすくなる?

高齢者をターゲットにした詐欺事件が後を絶ちません。日本で大きな問題になっていますが、アメリカでも、高齢者をターゲットとした年間総額にして4兆円もの詐欺事件が発生しているとの報道があります(Bloomberg, 2018年)。

これまで社会的には、こうした詐欺のターゲットになる高齢者には、なんらかの認知能力の低下がみられるのだろうと信じられてきたところがあるでしょう。特に、認知症になってしまえば、詐欺の被害から守るだけでも大変というのは、誰にでもわかることです。

しかし、コーネル大学医学部のマーク・ラックス教授らのチームは、この理解が間違っている可能性を指摘しています。認知能力に問題がなくても、人間は、高齢者になると、金融資産をめぐる判断の傾向に変化が起こり、結果として詐欺に引っかかりやすくなる可能性があると言うのです。

AAFV(Age-Associated Financial Vulnerability)とは

この教授らのチームは、金融資産の管理能力が年齢が上がるにつれて脆弱化すると考えており、これをAAFV(Age-Associated Financial Vulnerability)と名付けて注意喚起を行っています。つまり「うちの親はまだ元気だし、元銀行マンで疑い深いから大丈夫」ということはない可能性が高いのです。

これは、認知能力に問題が見られない、普通に元気にしている高齢者でさえ、詐欺のターゲットになり、被害を受ける可能性が十分あるということを意味します。悲しい話ですが、この事実は、おそらくは、詐欺を働く集団のほうが詳しく知っているはずです。

これからは、少しでも多くの人に、このAAFVの考え方が浸透していかないとなりません。いかに認知能力が残っていても、元気そうにみえても、高齢者は詐欺にあうリスクが高いのです。常識のある普通の人であっても、年齢が上がってくると、危険なのです。

AAFVの背景に関係するかもしれない3つの視点

私たちの多くは(若い頃は)詐欺を働く集団からすれば、ターゲットではありません。ですから、私たちの多くは、高齢者になるまで、巧妙な詐欺に出会うことがないはずです。しかし、そうした過去は「自分は詐欺にだまされない」という根拠のない自信(過信)につながってしまいます。単純に、詐欺をしかけられたことがないだけなのに、です。

大きな事件や病気にでもならない限り、私たちの貯金は、年齢が上がるごとに、増えていくのが普通でしょう。退職金がある場合はなおさらです。そうなると、高齢者になるということは、過去最大の貯金を持つということでもあります。しかし、私たちの多くは、大きなお金の管理のしかたを教わったことは(ほとんど)ないはずです。

そして、高齢者になって現役を引退すると、社会との接続が希薄になり、孤独になります。孤独は、承認欲求が肥大化してしまう温床にもなるでしょう。しかし、投資家として成功し、社会に関わることができたら、現役世代から尊敬され、若い起業家から感謝されたり、株主として様々な場に招かれたりもするでしょう。

まとめれば、高齢者であるということは(1)自分は詐欺にはだまされないと過信した状態であることが多い(2)大金を持っていても、その管理方法については正しい知識を持たないことが多い(3)投資家として成功したら承認欲求が満たされる可能性が残されている、ということです。

AAFVには、この3つの視点が関係している可能性があります。繰り返しになりますが、認知能力や健康に問題がなくても、高齢者であるというだけで、金融資産の管理は危険な状態になりやすいのです。より多くの人が、この仮説について考慮することを願うばかりです。

※参考文献
・Bloomberg, 『年4兆円奪われる米国の高齢者-金融に精通しても被害に遭う恐れ』, 2018年5月8日
・Mark S. Lachs, S. Duke Han, 『Age-Associated Financial Vulnerability: An Emerging Public Health Issue』, Ann Intern Med. 2015 Dec 1; 163(11): 877–878

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