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親の介護費用をカバーする保険が登場(損害保険ジャパン日本興亜)

親の介護費用をカバーする保険が登場(損害保険ジャパン日本興亜)

いまの高齢者世代は恵まれているが・・・

日本の社会福祉は賦課方式(ふかほうしき)と呼ばれる制度を採用しています。賦課方式とは、若手世代が高齢世代を金銭的に支えるというもので、若手世代の数が多く、逆に高齢者の数が少ないとき、優れた社会福祉の実現につながります。

その意味で、いまの高齢者世代は、年金や各種保険などの条件に恵まれています。退職金も普通にあった時代の人々です。それでもなお、貯蓄が足りないと感じる高齢者世代は約6割にものぼるのです。さらに貯蓄ゼロという高齢者世帯も約17%もいることを考えると、絶望的な気分にもなります。

そうした状況で、こうした高齢者世帯に要介護者(介護を必要とする人)が出てしまうと大変です。その介護に必要となる費用を負担するのは、子供たちということになるからです。子供がいない場合は生活保護になりますが、これも間接的に、子供世代となる人々の税金で成立しているものです。

損害保険ジャパン日本興亜の新たな取り組み

そんな中、損害保険ジャパン日本興亜が、親の介護費用を補償する保険を開発したとのニュースが入ってきました。まさに介護の現実にそくした保険で、時代性を感じさせられます。以下、Saikei Bizの記事(2018年5月14日)より、一部引用します。

損害保険ジャパン日本興亜が、親の介護費用を補償する保険を開発し、10月から販売することが分かった。本人が要介護状態になることに備える保険はこれまでもあったが、親の介護に子供が備える保険は業界で初めてという。(中略)

同社によると、介護が必要な人の約半数は、その介護費用を子供が負担しているという調査もあることから商品化。保険に加入しておくことで、巨額の介護費用を負担しきれず、自ら介護するために仕事を辞める必要がなくなるほか、企業も貴重な人材を失うリスクが低減できる。(後略)

このニュースの中にある「介護が必要な人の約半数は、その介護費用を子供が負担している」という部分は見逃せません。長期の住宅ローンを組んでいて、ここを想定していない現役世代は、親に介護が必要になると、簡単に破綻してしまうでしょう。

こうした保険が増えていくことはありがたいものの・・・

損害保険ジャパン日本興亜だけでなく、他の保険会社が、こうした保険に参入してくれることを願います。競争があることで、より優れたサービスが安価にもなっていくからです。ただ、どうしても気になることがあります。今の現役世代が高齢者になって、介護が必要になるときのことです。

高度成長期ではない時代に現役世代として活動してきた人々は、なかなか上がらない給与に苦しんできました。それで子供がいたりすると、高騰する教育費にも悩まされています。その上に、高齢化による増税や各種社会保険料の上昇があります。貯蓄が細るのは、仕方のないことです。

では、そんな現役世代が、将来、高齢者になったときは、どうなるのでしょう。少子化の影響で、賦課方式では、引退して生きられるだけの年金は期待できません。貯蓄も足りないでしょう。そうなると、今の現役世代は、引退せずに、できるだけ長く働くことが求められます。

問題は、そんな将来に、本当に仕事があるかという部分です。人工知能による失業率の上昇ということも、大きな不安として考えられます。また、仮にそうした事態が起こらないとしても、新たな技術などに対応していけなければ、仕事になりません。学び続けることが、どうしても、生きるための大前提になります。

こうした保険が出てくることは、ありがたいことです。しかし、こうした保険を購入する現役世代の将来は、とても不安に満ちたものであることには変わりありません。日本は、賦課方式はもちろんのこと、社会全体のありかたを見直すべきときにきています。

※参考文献
・Sankei Biz, 『親の介護費用、子供が保険で備え 業界初、損保ジャパンが新保険を開発』, 2018年5月14日

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