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健康保険組合が危ない?大企業のメリットが減少してきている

健康保険組合が危ない?大企業のメリットが減少してきている

健康保険組合とは?

健康保険組合とは、主に大企業が従業員のために組織化(または加入)する組合です。大企業の従業員やその家族の場合、定期的で高度な健康診断が(より安価に)受けられたり、病気になったときに手厚い保証があったりします。この背景には、健康保険組合の存在があります。

条件のよい健康保険組合に加入していることは、いわゆる福利厚生の根幹でもあります。特に人間ドックの利用は、ほとんどが、一部の富裕層と、条件のよい健康保険組合に加入している大企業の従業員に限られています。加入は強制であることが多いのですが、いちど加入すれば、途中で退職しなければ死ぬまで保険が有効になります。

健康保険組合は、独立採算制が原則です。組合員になる大企業の従業員は、保険料を支払っています。また、企業も保険料を納付することで、従業員の負担を軽くしています。保険ですから、実際には、組合員の多くが健康に問題がない場合において、いざという時のメリットが大きくなる仕組みになっています。

協会けんぽとは?

そんな大企業の従業員ではない場合、多くは、健康保険組合ではなくて、協会けんぽに加入しています。協会けんぽの場合、財務的に体力のない中小企業の代わりに、国が補助金を出して(国債を発行して)、これを財務的にサポートしています。

とはいえ、協会けんぽの条件は、大企業による健康保険組合よりも悪いのが一般的です。健康診断を受ける場合の負担が大きかったり、従業員やその家族が病気になった場合の保証も健康保険組合ほどには手厚くなかったりもします。

大企業に勤務し、定年退職まで勤め上げた場合、条件のより良い健康保険組合のサービスが受けられるのです。これに対して中小企業に勤務する場合、見えにくいのですが、この健康保険組合のメリットが享受できません。新卒の大学生が「寄らば大樹の陰」というのは、かつては、それなりに理由のあることだったのです。

健康保険組合が危ない?

しかし、健康保険組合の存続が危なくなってきています。従業員が負担する保険料率が年々上がってきており、赤字の健康保険組合も6割を超えているのです。背景にあるのは、高齢化です。健康保険組合の保険は、一度加入すれば死ぬまで有効であるため、高齢者になったかつての従業員の数が増えると、財務が厳しくなるのです。

朝日新聞の報道(2018年4月24日)によれば、健康保険組合の全組合平均では、現役世代のために組合から支払われる医療費と、退職した高齢者向けの医療費は現時点で54:46という割合になっており、今後は、より退職した高齢者向けのものになっていく可能性が指摘されています。

健康保険組合とはいえ、保険の一種です。加入している現役世代からすれば、保険料に見合ったメリットが享受できないならば、加入している意味がありません。保険というのは、あまり使われないからこそ、いざという時にメリットが大きくなるものなので、頻繁に使われる場合は、その意味が減ってしまうのです。

健康保険組合の解散がはじまった

こうした背景から、健康保険組合の解散がはじまっています。解散してしまった場合、その受け皿となるのは協会けんぽです。大企業の従業員からすれば、かつては存在した福利厚生のメリットが失われるという大事件です。国としても、独立採算だった健康保険組合が協会けんぽになってしまえば、公費の持ち出しが増えてしまいます。

しかし、2007年には1,518組合あった健康保険組合は、2018年現在は1,389組合にまで減少しています。そして今後は、約50万人もの加入者がいる人材派遣健保や、約16万人もの加入者がいる日生協健保が解散を検討していることが毎日新聞により報道(2018年4月23日)されています。

労働者にとって、大企業に勤務する価値のひとつだった福利厚生が、急速に悪化しているわけです。かたや高齢者からすれば、ある程度は覚悟していたとはいえ、高齢者の社会的な切り捨てが加速することになります。順番はあるとはいえ、日本というタイタニックに乗っていれば、誰もこの流れからは逃げられないのでしょう。

※参考文献
・毎日新聞, 『23%で解散の恐れ 高齢者分の負担増大』, 2018年4月23日
・朝日新聞, 『健保組合、平均料率が過去最高 高齢者医療への拠出響く』, 2018年4月24日

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