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介護福祉士が就職すると40万円もらえる?助成金ラッシュがはじまる

介護福祉士が就職すると40万円もらえる?助成金ラッシュがはじまる

介護職の待遇は悪く、生活も苦しい

これまで何度も話題にしてきましたが、プロとして介護に従事する介護職の待遇は、非常に悪いというのが世間の常識です。東洋経済による40歳モデル賃金のデータでは、全63業界中でもダントツの最下位にあります。

しかし、介護業界には人が全く足りていません。今後は、高齢者の増加によって、こうした人材不足はさらに顕在化していきます。特に、団塊の世代が75歳(要介護者になる確率が急に上がる)になりはじめる2025年以降は、この問題は、悲惨なニュースとして日本中で定着してしまいそうです。

2025年を待つまでもなく、都市部よりも一段と高齢化が進んでしまっている地方では、すでにそうした悲惨がはじまっています。本質的には、介護職の待遇を改善するしかないのですが、国の施策を待っていては、地方は崩壊してしまいかねない状態なのです。

自治体による助成金ラッシュがはじまりつつある

そうなると、自治体としては、とにかく「あの手この手」で介護職の確保に動くしかありません。問題は待遇であることがわかっているのですから、自治体独自で、介護職に特別なお金を給付するしかないのです。そんんな中、宮城県栗原市の介護福祉士に対する助成金がニュースになっています。

不足する介護職員を確保しようと、栗原市は2018年度から、市内の介護施設に新たに就職する介護福祉士に対し、就職支援金40万円を助成する制度を始める。同様の制度は登米市なども実施しているが、栗原市によると40万円は県内最高額になるという。

就職の際、住民票を栗原市に移し、2年以上継続して勤務することが条件。現住所は問わない。新卒者のほか、資格を持つ未就業の人も対象となる。1人1回限りで、条件を満たせば返還の必要はない。(後略)

県内最高額というあたりから、自治体の苦しみがよく伝わってきます。この戦いには終わりがなく、自治体は、隣に負けないように助成金を積み上げていくでしょう。それは介護職の待遇改善ではありますが、本質的とは言えないものです。自治体も、そんなことはわかっていると思いますが。

こうした助成金の問題点と今後の展開

こうした助成金には、問題があります。それは、介護職からすれば、日々の生活が大事なのであって、月給が上がらないと、本当の意味では楽にならないということです。就職したらお金がもらえるというのは嬉しいですが、40万円程度では、引っ越し費用などでなくなってしまいます。

しかし、それだけのお金を捻出できる自治体は少ないでしょう。そうなると、隣の自治体からの人材の争奪戦には歯止めがきかなくなります。結果として、一時金を目当てに、自治体を転々とする介護職も生まれてしまうでしょう。

一時金による人材確保は、一時金によって失われるということです。こうした一時金に魅力を感じて来てくれる人材は、他の自治体が打ち出す一時金にも興味を示すはずだからです。自治体としても、そうしたことは理解できているはずですが、とにかくすぐに介護職が必要なため、対応に苦しんでいるのでしょう。

本当は何をしなければならないのか

自治体レベルでやれることは限られています。本当は、国家レベルで、介護職の待遇改善に動かないとならないはずなのです。しかし、介護職は歴史的にはボランチィア的なものとしてはじまっており、その後は家庭内の専業主婦が行うものとされてきました。つまり介護は無給の労働として、広く薄く日本全体が誤解しているのです。

これが「介護は専門性の高いプロを必要とする仕事」という正しい認識に変化しないと、根本的には、介護職の待遇は改善しないでしょう。しかし、介護職の専門性とは何なのかが、世間一般に理解される日は、まだまだ先のこととなりそうです。

本当は、デンマークのように、介護職を公務員にしてしまうほうが話は早いのです。日本では、学生の就職先ランキングとして公務員の人気が高いことは周知の事実でしょう。介護職が公務員になれば、人材の確保も容易になります。

日本の高齢者福祉は、危機的状況にあります。それが広く意識されないのは、まだ、介護をしている人が全体から見れば少数だからです。しかし、誰もが高齢者になり、いつかは誰かの介護が必要になるのです。介護は、国民全員の問題であるにも関わらず、世間一般に関心がもたれることは少ないのです。

国民が介護について正しく啓蒙されるのを待っていては、この悲惨は止められません。こうしたところでこそ、政治家と官僚が動かないとならないはずなのです。なんとか、介護職の待遇改善に対して、抜本的な対策を打ち出して、実現してもらいたいものです。

※参考文献
・読売新聞, 『介護福祉士就業に助成金』, 2018年2月21日

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