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ベーシックインカム、インドで大規模導入か?

ベーシックインカム、インドで大規模導入か?

ベーシックインカムは、最大の希望になるか?

ベーシックインカムとは、簡単に言えば、イメージでは月額7〜12万円程度のお金を、無条件で、誰もが受け取れるという制度です。このベーシックインカムについては、KAIGO LAB でも、過去になんども記事にしてきました

ただ、ベーシックインカムは、世界でもまだ小規模の試験運用がなされているだけで、リスクはもちろん、わからないこともたくさんあります。そうした中、インドで、大規模なベーシックインカム導入のニュースが入ってきました。以下、Newsweekの記事(2018年2月5日)より、一部引用します。

インドのいくつかの州は、2年後までに「ベーシックインカム(最低保障制度)」を導入するかもしれない。「タダでお金を配る」政策とも言う。インド政府の首席経済顧問のアルビンド・スブラマニアンによれば、2020年までには現実になりそうだ。(中略)

ベーシックインカムとは、すべての個人に、所得の多寡に関わりなく、同額の現金を送金する制度。受け取った個人は、そのお金を何に使ってもいいというのが最大の特徴の1つ。だが反対派は、使い道に制限がないと、お酒の乱用などよくないことに使われるに決まっている、と言う。だがケニアの実験ではそうはならななかった。

このままでは生活保護と年金問題は解決されない

そもそも、老後の資金が足りない高齢者世帯は全体の57.9%にもなります。これは2015年時点での話で、将来は、こうした貧困の高齢者世帯はもっと増えていくことになります。そしてお金が足りないなら生活保護という具合に、簡単にはいかないのが今の日本です。

ベーシックインカムは、生活保護も年金も、ほとんどすべての社会福祉のための財源を一つにしてしまうという考え方です。その上で、すべての個人に、同額のお金を無条件であげるという制度になります。この制度が導入されると、富裕層まで含めて、みんなで一旦は貧しくなることになります。

とくに、高額の報酬を得てきた経営者だったり、大企業に定年まで勤めたような人は、これまでのような高額の年金が得られず、大きく損をします。そのかわり、母子家庭だったり、失業をしていたり、老後のお金が全くないという社会的弱者は、かなりの程度救われます。

社会的弱者を減らせる見通しがないのなら

人工知能が人間から仕事を奪うという未来には、否定的な意見もあります。ただ、人工知能が、現在の社会的弱者を救うようには思えないのです。これからの世界において、社会的弱者を減らせるような根本的なアイディアがないのであれば、可能性としてベーシックインカムを検討しなければならないはずです。

もちろん、ベーシックインカムを導入すれば、働く意欲を失い、ただ、もらえるお金を散財するだけの人も出てくるでしょう。同時に、ブラック企業に搾取されるくらいなら、いっそ失業して、ベーシックインカムを頼りにして生きることもできるという環境は、多くの人にとって安全安心な社会とも言えるわけです。

それに、ベーシックインカムの金額が、月額7〜12万円程度であれば「もっとお金が欲しい」と考える人も多いはずです。そうした人は、ベーシックインカムをもらいながら、働き続けるでしょう。当然、介護職の待遇問題も、これによってかなりの程度改善されます。

とはいえ・・・本当に機能するのだろうか?

ベーシックインカムの良いところは、財源さえ確保されれば、多くの人から将来不安を拭い去ることができるという部分です。将来不安がなくなれば、不必要にお金が貯蓄に回ることもなく、消費も増えることで、経済が活性化される可能性もあります。

実は、ベーシックインカムは、社会的弱者を救うという制度ではありません。そうではなくて「働かざるもの、食うべからず」という、過去から続く人間のあり方そのものを変革してしまう制度なのです。この制度によって、働いていなくても、誇りと尊厳をもって、安全安心に暮らせる社会が出現するかもしれないのです。

しかし、このベーシックインカムの最大の問題は、人類史上、大規模に導入された事例がないということです。あくまでも机上の空論ですから、想定されないリスクもあるはずですし、そもそもうまくいかない可能性もあります。それが2年以内に、インドで大規模導入ということになったのですから、これは大きな事件なのです。

※参考文献
・Newsweek, 『「タダでお金を配る」ベーシックインカム、インドの州で2年以内に導入の見込み』, 2018年2月5日

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