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人材への投資に税制優遇(実質的な賃上げ)も、介護業界だけは取り残されてしまう?

人材への投資に税制優遇(実質的な賃上げ)も、介護業界だけは取り残されてしまう?

人材への投資は実質的な賃上げである

よく言われることですが、勉強することこそ、もっとも利率の高い投資です。しかし、勉強には費用がかかります。もちろん、費用などかけなくても図書館で自分で勉強できる人材もいます。しかし多くは、講義や研修といった形式でないと、効率的な勉強を進めることができません。だからこそ、教育産業が存在しています。

ただ、義務教育を超えて、大人になってから教育産業のお世話になると、その費用は高額になりがちです。ビジネススクールや資格の学校のパンフレットを取り寄せてはみたものの、金額をみてため息をついたことのある人も多いでしょう。

しかし、自分が勤務する企業が、研修として、勉強の機会を提供してくれたとすればどうでしょう。自分で学校などに通うための費用が節約できるだけでなく、そうした研修によって自分の人材としての能力が高まり、将来のキャリアと賃金にも良い影響があります。

つまり、企業が従業員に対して教育を行うことは、その企業で働く人にとっては、実質的な賃上げなのです。ですから、単純に給与の高い低いだけでなく、その企業がどれだけ人材に投資しているかどうかも、とても大切な評価ポイントになってきます。

企業による人材への投資に税制優遇が!

そうした中、企業による人材への投資に対して、税制優遇が行われる方向での議論が開始されているようです。これは、景気が上向いていても、なかなか賃上げが進まない現状に対する優れた打開策になる可能性があります。以下、時事通信の記事(2017年8月22日)より、一部引用します。

政府は22日、安倍政権の新たな看板政策「人づくり革命」を進めるため、人材投資を行った企業に対し法人税を減税する制度を設ける方向で検討に入った。企業の生産性向上を税制面から後押しするのが狙い。(中略)

経産省の要望では、新たなスキル習得に向けた研修や社員の学び直しなどの費用を減税の対象とする。17年度末で期限を迎える現在の所得拡大促進税制を延長した上で、拡充するよう要求する。

もちろん減税の大きさにもよりますが、この流れは、日本全体にとっては良いことでしょう。経営者からすれば、思い切って人材への投資ができるようになります。従業員からすれば、自分が勉強するために必要なお金を、会社が代わりに支払ってくれるわけです。

また、研修などを提供する教育産業にもお金が流れることで、日本の教育産業の発展にもつながります。そうして人材の生産性が高まれば、企業の収益は上向きます。結果として、減税したにも関わらず、税収は高まるという方向になります。これは、税収に伸び悩む政府としてもありがたいことです。

介護業界は、この賃上げから取り残されてしまう?

この税制優遇は優れた提案になる可能性があります。しかし問題は、法人税の減税というところかもしれません。なぜなら、法人税とは、本来は、企業が生み出した利益にかかってくる税金だからです。そもそも介護事業者の中には赤字のところが多くあり、赤字だと(基本的には)法人税がかかりません。

そうなると、この税制優遇があっても、少なからぬ介護事業者はその恩恵を受けられないことになります。すると、ただでさえ待遇のよくない介護業界は、また、賃上げから取り残されてしまうという結果にもなりかねません。経産省には、この点についても、考えを巡らせてもらいたいところです。

介護業界では、その待遇の悪さによって、深刻な人手不足が続いています。このままでは、いざ、介護サービスが必要になったとしても、それを提供してくれる介護事業者がいないという状況が生まれてしまいます。介護業界の待遇問題は、誰にとっても自分ごとなのです。

※参考文献
・時事通信, 『人材投資に法人減税=来年度改正で検討-政府』, 2017年8月22日

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