閉じる

介護大手の経営状態がよくなってきている?待遇の改善につながるのはいつだろうか・・・

介護大手の経営状態がよくなってきている?待遇の改善につながるのはいつだろうか・・・

苦戦する介護事業者と経営改善

介護業界では、毎年、多くの介護事業者の倒産が起こっています。介護を必要とする要介護者(利用者)はどんどん増えているのに、介護サービスを提供する介護事業者は、経営に困っているのです。そうして、昨年度は、大手を含めて、介護事業者の苦戦が多数報道されました。

そうした逆境にも関わらず、介護大手各社の2017年3月期の決算によれば、介護大手の経営状態はよくなってきていることがわかります。介護保険制度の改正に対して、適切な対応をしたところが、特に大きく利益を伸ばしたようです。

特に、2016年3月期において、160億円の最終赤字を計上することになったニチイ学館は、2017年3月期には黒字化を達成しています。この黒字化には、相当な苦労があったはずです。関係各位には、本当にお疲れ様でしたと伝えたいところですね。

介護業界における経営課題で最大のものとは?

介護業界における経営課題で最大のものは、介護職の人材不足です。介護職が不足することによって、受け入れられる利用者の数が制限されてしまうからです。受け入れられる利用者の数は、そのまま、介護事業者の売上に直結します。

介護施設における介護(施設介護)であれば、利用者の介護には、複数の介護職がチームで関わるため、経験の浅い人材であってもそれなりに対応することができます。しかし、利用者の多くは、介護施設ではなく、自宅で介護を受けています(在宅介護)。

在宅介護の場合は、介護職は、利用者の自宅で、多くの場合は1人で介護を行います。在宅介護は、施設介護とは異なり、介護に熟練している人材でないと対応できないことも多いのです。そして、そうした介護に熟練している人材を採用することは、特に困難です。

介護事業者は、この人材不足の問題に対応するため、助成金を使って人材育成を進めたり、経験の足りないところを補うITツールを導入したりしています。将来的には、人工知能などを用いて、介護職1人あたりが対応できる利用者の数を増やしていく方向になっていくでしょう。

忍び寄る介護報酬のマイナス改定

介護のプロが介護サービスを提供したときの対価(介護報酬)は、国によって定められています。しかし国の社会福祉のための財源は、どんどん厳しくなってきています。そのため、将来的には、介護報酬が下げられていく方向性(マイナス改定)が予想されています。

マイナス改定が起こると、これまでと同じ介護サービスを提供すると、もらえる報酬が下がってしまいます。そうなると、仮に人材不足の問題が解決したとしても、売上が下がっていくことは明白です。根本的な経営効率を見直さないと、破綻する未来が見えているのです。

介護大手の経営状態が改善してきているとはいえ、今後も厳しい状態が続くのは間違いありません。本当は、介護業界が儲かる業界になって、それが介護職の待遇改善につながっていくことが理想なのです。しかし、そうしたことが起こるのは、まだまだ先の話になりそうです。

都市部から介護事業者が消えていく近未来

経営効率の改善にとってインパクトがあるのは、人件費、家賃、リース料といった、売上に関係なく、必ず発生してしまう費用(固定費)の削減です。人材不足ですから、人件費を減らすのは容易ではありません。リースのコピー機などは、ペーパーレス化を進めれば、必要なくなる可能性はありますが、金額的にはたいしたコスト削減にはなりません。

そこで注目されるのは家賃です。家賃にかかるコストを削減できたら、介護事業者の経営は、それなりに改善させることができます。実際に、なんとか黒字を維持できている介護事業者の多くは、自宅を改装して家賃のかからない状態になっていたり、そもそも自社ビルを持っていてそこを活用していたりという具合に、家賃のネガティブな影響が少ないところが多いのです。

しかし、多くの介護事業者は、自宅ではないところに、事務所を借りる必要があります。つまり、介護報酬のマイナス改定があると、家賃の高い都市部では、介護サービスは提供できないということになります。都市部は色々と便利なのですが、これからは介護難民が増えていくことになります。残念ですが、仕方のないことです。

※参考文献
・日経デジタルヘルス, 『介護大手各社の2017年3月期決算出そろう』, 2017年6月9日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

PR