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後見人の不正な着服を防ぐため「後見支援預金」というサービスを活用していこう!

後見人の不正な着服を防ぐため「後見支援預金」の制度を活用していこう!

認知症があるなら後見人を立てる必要があるが・・・

認知症があったり、認知能力に問題が出始めたら、後見人を立てることを検討しなければなりません。後見人とは、事実上の保護者です。特に、認知症に苦しむ人の財産を、犯罪者や悪徳業者などから守ることに重点が置かれている制度になります。

しかし、こうして設定された後見人が、認知症に苦しむ人の財産を着服するというケースが相次いでいます。実際にわかっているだけでも、こうした後見人による財産の着服は、年間で500件以上というレベルで発生しています(最高裁判所による2016年の調査)。

保護者として設定される後見人が、そもそも疑わしいという場合、後見人の制度自体が破綻してしまいます。そうなると、認知症に苦しむ人を守ってくれる人がいなくなります。これから認知症に苦しむ人が益々増えていくわけですから、それは困る話です。では、私たちはいったい、どうすればいいのでしょう。

「後見支援預金」の制度はありますか?

こうした中、一部の金融機関が「後見支援預金」というサービスを開始しはじめています。「後見支援預金」とは、要するに、後見人が金融機関とお金のやりとりをすること(特に出金)を、家庭裁判所がチェックしてくれるというものです。以下、中日新聞の記事(2017年7月12日)より、一部引用します。

認知症などで判断能力が十分でない高齢者らの財産管理を行う成年後見制度で、後見人による不正な着服を防ごうと、静岡県内の十二信用金庫は、静岡家庭裁判所が発行した指示書がないと出金などができない「後見支援預金」の取り扱いを順次始める。金融機関と家裁が連携した預金は全国で初めて。(中略)

成年被後見人の預金口座の作成や預け入れ、出金、解約に家裁が関与する仕組み。口座を作成する際、後見人は家裁が発行した指示書を信金に持参する。通帳ができたら写しを家裁に提出する。口座は普通預金のみで、キャッシュカードは発行されない。口座からの出入金と解約にも家裁の指示書が必要になる。(後略)

特にキャッシュカードが発行されないことで、ATMなどで簡単に不正が行えてしまう状況がなくなります。もちろん、家庭裁判所までグルだった場合はどうにもなりません。しかし、その可能性は限りなく低いはずです。ただ、家庭裁判所が、金融取引を一つひとつ確認していくのは大変な作業になるでしょう。そこのコストは心配です。

これから「後見支援預金」のサービスは広がっていく

これから、日本中の金融機関が「後見支援預金」のサービスを出してくるでしょう。ただ家庭裁判所のチェックを入れるだけでなく、それぞれに特色のあるサービスが生まれてくるはずです。介護領域は、金融機関にとっても、大切な新事業領域なのです。

とはいえ、後見人という制度自体が、かなり不安な制度であることは変わりません。仮に後見人が正直に財産を管理したとしても、それが本当に本人の意思に合致しているのかといったチェックは、できないままだからです。

たしかに、認知症の症状が出ると、本人は様々なことが認識できなくなってしまいます。しかし、古い記憶は残っていることが多く、まったく本人の人格が消えてしまうようなものではありません。熟練の介護職になると、こうした古い記憶を頼りに、本人と深い関係性を結べる人もいます。

もしかしたら「後見支援預金」の制度を使いつつも、後見人としては、そうした熟練の介護職が選ばれていく未来も登場するかもしれません。その場合は、介護職にも財産の管理についての知識が求められるようになっていく可能性があります。

※参考文献
・中日新聞, 『静岡発「後見支援預金」 高齢者らの財産 着服防ぐ』, 2017年7月12日

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