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仮眠も労働時間?千葉地裁での判決

仮眠も労働時間?千葉地裁での判決

仮眠も労働時間という判決が出る

労働基準法(第34条第1項)では「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定められています。

夜勤などの仕事においては、こうして労働基準法で定められている休息時間が仮眠にあてられることがあります。しかし法的には、業務から完全に解放されていない場合は、休息とは言えないのです。仮眠しつつ、いざなにかがあれば、対応できる準備状態あれば、それは労働時間です。

実は、仮眠が休息時間なのか、労働時間なのかを巡っては、しばしば、争いになります。そのケースごとに判断されるのは、そこに、有事には業務に戻ることが期待される「待機性」があるかどうかです。「待機性」があれば、それは労働時間ということになります。

そんな中、千葉地裁で、仮眠が労働時間であるという判決が出ました。ここでも「待機性」が問題視されています。以下、朝日新聞の記事(2017年5月17日)の記事より、一部引用します。

イオンの関連会社で警備業の「イオンディライトセキュリティ」(大阪市)の男性社員(52)が宿直の仮眠は労働時間にあたるなどとして、未払い残業代などの支払いを求めた訴訟の判決が17日、千葉地裁であった。小浜浩庸裁判長は「労働からの解放が保証されているとは言えない」として、原告の請求をほぼ認め、未払い残業代と付加金の計約180万円を支払うよう同社に命じた。(中略)

原告側は「仮眠時間でも制服を脱がず、異常があった際はすぐに対応できる状態を保ったままの仮眠で、業務から解放されなかった」と主張。小浜裁判長は「仮眠時間や休憩時間も労働から解放されているとは言えない」と指摘した。(後略)

介護業界で注意すべきこと

こうした判決を受けて、介護業界でも、仮眠の扱いについては、とくに注意していく必要があるでしょう。そもそも、夜勤には仮眠が必要です。仮眠のない夜勤が続けば、介護職は体力も気力も失い、退職していくことにもなるからです。

介護業界で、部下を持って仕事をしているなら、仮眠について、しっかりと考えておく必要があるでしょう。もちろん、仮眠を労働時間にできたら、なんの問題もありません。しかし、多くの介護事業者は、余裕のある経営状態ではありません。赤字経営のところも多数あります。

まずは、仮眠を労働時間にできるかどうか、経営者に確認してみてください。それが無理ということであれば、仮眠の時間を、法的に正しく休息時間とするために、十分な配慮が必要になります。特に「待機性」がない状態を確保することが大事になるのは、先にも述べたとおりです。

とはいえ、ここを素人判断するのはよくありません。顧問弁護士などにしっかりと確認をしつつ、仮眠についての業務上のルールを設定し、それをしっかりと運用する必要があります。これができていないと、最終的には利用者(要介護者)とその家族に、大きな迷惑をかけることになってしまうのです。

※参考文献
・朝日新聞, 『「仮眠も労働時間」イオン関連会社に残業代支払い命令』, 2017年5月17日

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