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【人事部注目】介護休業中の給与を補償してくれる企業向けの保険が登場(ニュースを考える)

【人事部注目】介護休業中の給与を補償してくれる企業向けの保険が登場

国の介護休業制度における問題点について

介護による休業が必要になった労働者に対しては、最大で93日間、休業前の賃金の67%が支払われることが法律(育児・介護休業法)で定められています。これはこれでありがたいのですが、67%で十分という人はいないでしょう。同時に、上限である93日間を超えて休業が必要になった場合はどうするのでしょうか。

この4月から、67%ではカバーしきれていない残りの33%の部分や、上限を超えて休業が必要になった場合の給与を補償してくれる保険が登場します。これは、個人で加入する保険ではなく、企業として加入するものです。以下、日経新聞の記事(2017年4月10日)より、一部引用します。

三井住友海上火災保険は介護に伴って給与が減ったり、無給になったりした際に所得を補償する保険を4月下旬から販売する。介護休暇に伴う給与減や国の給付金が終わった後の無給期間を想定している。介護休業の経済的な負担から離職や転職をする人は年10万人にのぼる。介護休業の取得が容易になる新たな保険へのニーズが高まっていると判断した。

新型の保険は団体総合生活補償保険の特約として企業向けに販売し、従業員は会社を通じて契約する。従業員の親が要介護2以上になり、介護休業を取得した場合に保険金を支払う。保険金額は最大で月200万円。支払期間や月額の保険金額は各企業の要望に応じて決める。保険金が月額20万円で補償期間9カ月の場合、保険料は月1040円程度になる。

人事部発の競合優位性獲得への貢献

介護休業は、法律で認められた当然の権利ではあるものの、その取得率は低いままというのが現状です。しかし無理をして、休みを取らないでいると、逆に、介護離職のリスクが高まってしまいます。とはいえ、従業員としては、介護休業中は所得が極端に下がってしまうので、なかなか介護休業は取得できなかったのです。

しかし、こうした保険に入ってくれている企業で働く従業員は、より安心に、介護休業を取得できます。十分に時間をとって、介護の体制を整えてから、職場に復帰したほうが、従業員のパフォーマンスも良いはずです。企業は、ぜひとも、こうした保険への加入を検討すべきでしょう。

特に人事部は、この問題の解決について責任を持っています。介護離職を防止することはもちろん、人事部には、競合他社よりもよい労働環境をつくることによって、採用力を高めるという視点も求められます。そうした意味で、介護に理解のある人事部の存在する企業は、今後ますます、競合優位性が高くなっていくといえます。

それでも残される問題点について

公的な権利として、67%の給与補償をもらうには、介護休業が終了してから職業安定所(ハローワーク)にて申請手続きをする必要があります。この申請を忘れるというのはもってのほかですが、そもそも、この補償は、介護休業が終わってから受け取れるという点には注意が必要です。

つまり、介護がはじまって、介護休業に入ると、いったん、そうした休みが必要なくなるまでは、収入が途絶えてしまうのです。貯金が十分にある人であれば問題ありませんが、そういう人ばかりではないでしょう。

そうなると、たとえ、今回紹介したような保険に入っている企業の従業員であっても、介護休業中は、月の手取りは33%に減らされてしまいます。後になって、残りの67%が支給されるとはいえ、それでは生活できないというケースもあると考えられます。

企業としては、そうした場合のために、介護休業中の従業員に対して、一時的に給与補償としての貸付を行うような制度を整えておくべきでしょう。本物の採用力とは、よい企業であることです。介護への対応を面倒ととらえずに、採用力を高めるチャンスとして認識したいものですね。

※参考文献
・日本経済新聞, 『三井住友海上、介護休業中の給与補償する保険』, 2017年4月10日

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