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現役世代から徴収される介護保険料が過去最高に?いやいや、今後も毎年上がっていきますよ(ニュースを考える)

現役世代から徴収される介護保険料が過去最高に?いやいや、今後も毎年上がっていきますよ

介護のための財源は足りなくなっていく

日本の高齢化が叫ばれて久しいです。しかし、日本の社会が、本当に高齢化の厳しさを実感するまでには、まだ少し時間があります。団塊の世代(1947〜1949年生まれの層)の介護が、まだ、本格化していないからです。高齢化が恐ろしいインパクトを見せ始めるのは、団塊の世代が75歳(後期高齢者)を超えはじめる2025年以降になるでしょう。

この恐ろしさを理解するには、特定の年齢層における要介護者の割合(要介護出現率)について知る必要があります。当たり前のことなのですが、要介護者の割合は、年齢が上がるごとに増えるのは当然でしょう。それがいかなるものであるか、以下、厚生労働省の同資料の数字から、以下、グラフにしてみます。

要介護出現率

2025年からは、人口ボリュームの大きい団塊の世代が75歳以上になりはじめます。そうなると、今とは比較にならない数の要介護者が出てきます。結果として、介護に必要となる財源も、今よりもずっと大きな規模で必要になってくるのです。これを特に「2025年問題」といいますが、これは、2025年に問題があるという話ではなくて、2025年以降の日本が大変なことになっていくということなのです。

2025年問題は、少しずつ顕在化しつつある

まだ本格化していないとはいえ、高齢化の影響は、少しずつ顕在化しつつあることも事実です。40〜64歳の現役世代から、介護保険料として毎月徴収されている「実質的な税金」の金額が、年々上がってきているのです。以下、朝日新聞の記事(2017年3月23日)より、一部引用します。

40~64歳の会社員や公務員ら現役世代が負担する介護保険料が4月から1人当たり平均月5642円になる。前年度の当初から290円の増額。自営業者ら国民健康保険に加入している人は203円増えて5555円。いずれも過去最高になる。厚生労働省が21日に発表した。

現在は、まだまだ、高齢化が持っている真のインパクトには程遠い状況ではあります。しかしそれでも、こうした形で、毎年のように、介護保険料は上昇しているのです。もちろん、来年はもっと上がり、再来年はさらに増額されていくことは明白です。

こうして、介護保険料はいつまで上がっていくのでしょうか。これについては、厚生労働省の試算があり、毎年、過去最高を更新していくことが明白になっています。団塊の世代が75歳を超えはじめる2025年には、8,200円になっているそうです(厚生労働省, HP)。

問題は、この8,200円という数字は、日本の高齢化問題が本格的に顕在化しはじめる2025年の時点での予測だということです。ここから、団塊の世代の要介護者が加速度的に増えていくことを考えると、介護保険料もまた、この数字では止まっていられないのは明らかです。10,000円を超えるのは当然として、どこまで行くのかわかりません。

このままでは、日本の介護はもたない

現在の介護には、約10兆円の公的資金が投入されています。このうち50%は、現役世代から徴収される介護保険料です。残りの50%は、国や地方自治体が集めた税金が投入されています。2025年の段階では、今と同様な介護を維持するためには、これが約21兆円になると試算されています。

現役世代からの介護保険料は、2025年時点では、月額8,200円なのかもしれません。しかし、介護のための予算の残りの半分である税金部分は、どうなるのでしょう。結局のところ、この税金もまた、現役世代から「増税」という形で徴収されるわけです。実質的には、2025年の時点でも、8,200円の負担では済まないのです。

そして、そこから、先の要介護出現率のグラフにみられるように、人口ボリュームの大きな団塊の世代の介護が増加していきます。それだけではありません。少子化の影響から、現役世代の数もまた、減っていくのです。こうして現役世代を退いた人の中には、要介護者になる人も出てきます。

どう考えても、今と同じ考え方では、日本の介護はもちません。なお、ここまでの話には、混乱を避けるために、医療の視点を入れていません。しかし医療もまた、介護と同様に、予算が枯渇していきます。2025年を迎える前に、日本の社会福祉のあり方を根本から見直して、設計しなおす必要があります。

国会を開催するのには、1日あたり約3億円かかるとも言われます。苦しい財政の中、そんな費用をかけている国会はいま、本当にくだらない話題で止められています。そんな余裕は、日本にはもうないのです。

※参考文献
・朝日新聞, 『現役世代の介護保険料、平均で月5642円に』, 2017年3月23日
・厚生労働省, 『介護保険制度を取り巻く状況/介護給付と保険料の推移』, 地域包括ケアシステム(HP)

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