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低所得単身世帯ほど、介護サービスを利用している(所得と介護サービス利用の関係性)

低所得単身世帯ほど、介護サービスを利用している

誰が介護サービスを使っているのか?

単身と一般世帯、および所得と、介護サービスの利用状況に関する調査報告があります(和泉, 2016年)。この調査報告から、少し興味深いことがわかるので、こちらでもポイントを絞って紹介したいと思います。

まず、単身世帯については、所得が低いほどに、介護サービスを利用しているということがわかりました。米ブリガムヤング大学の研究によれば、最も長生きを妨げるのは「孤独」ということがわかっています。単身であり、人付き合いのためのお金もない人は、この「孤独」という病におかされている可能性があります。

「孤独」によって健康を害しやすく、要介護度が上がり、介護サービスの利用が増えているのかもしれません。また、ヘルパーなどが来てくれることで「孤独」が癒されることから、必要以上に、介護サービスに頼る傾向もあるのかもしれません。

次に、中所得層では、所得と介護サービスの利用についての相関は認められませんでした。中所得層は、単身か一般世帯かにかかわらず、所得の違いによって、介護サービスをより多く利用したり、少なく利用したりということはありませんでした。

最後に、高所得の人々の場合は、所得が上がるごとに、介護サービスの利用が増えることがわかりました。ここには、高所得の人々は、家族による介護を望まず、お金の力で、できるだけプロに依存するようにしているという背景が予想されます。

所得分布の両端が介護サービスを利用する

あくまでも弱い相関であり、必ずこうなるというレベルではないものの、低所得と高所得という所得分布の「両端」において、介護サービスは多用されるということです(絶対額ではなく傾向という点については注意が必要)。ここから、いくつか考えなければならないことがあります。

まず、高所得な人々については(反発も多いでしょうが)自己負担を増やすべきだということです。高所得の人々の場合、今でも、保険外のサービスを使っているでしょう。そうした保険外の部分を増やしていくことで、介護保険の財源を傷めないようにしたいところです。

次に、低所得の人々に対しては、利用している介護サービスが、本当に介護サービスとして提供すべきものなのかの検証が必要です。それが介護なのか、それとも「孤独」への対応なのかについては、判別が必要です。相手が「孤独」であれば、介護保険を使うことなく、別のアプローチで解決していきたいことだからです。

今後は、単身の低所得世帯が増えていく

前提として考えておきたいのは、今後の日本について、です。今後の日本は、ITや人工知能の影響によって、中所得層が減っていくことが予想されます。結果として増えるのは、低所得層です。

さらに、未婚率や離婚率の増加により、単身の世帯も増えていくと考えられています。今回の調査報告からもわかるとおり、こうして増加していく低所得の単身世帯には、より多くの介護費用がかかっていく可能性があります。ただでさえ足りない介護財源が、さらに厳しくなっていく可能性があるのです。

低所得の単身世帯に分類される人々であっても、健康で文化的な生活が営める社会でなくてはなりません。そうした人々が、介護サービスを使わなくても済むように、健康で文化的な生活を実現するための具体的な施策について考えるべき局面に来ていると思います。

※参考文献
・和泉 徹彦, 『全国消費実態調査を用いた消費・貯蓄、貧困、介護サービスの分析』, 生活経済学研究 43, 65-80, 2016-03-31

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