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介護サービス改悪。要介護2では、車いすや介護ベッドが借りられなくなる?(ニュースを考える)

介護サービスの改悪が進む

介護保険の財源が足りません

2025年まで、10年を切りました。今のままでは、現在の年間約10兆円という介護保険財源は、2025年には、倍の約20兆円必要になると予測されています。それだけの財源確保は容易ではない以上、介護保険のサービス改悪が起こっていくことは避けられません。

介護保険の財源問題については(1)大企業の内部留保を取り上げる(2)国防予算を減らす(3)国の税金の使い方を見直す、ということが指摘されてはいます。しかし(1)大企業の内部留保を取り上げるようなことをしたら、日本から企業が出ていってしまう(2)そもそも日本の国防予算は5兆円程度で足りません。

本丸は(3)国の税金の使い方を見直すことなのですが、これは、既得権をはがすということであり、進めるにしても、時間がかかります。おそらくは、2025年までには間に合いません。そうなると・・・残念ながら、介護保険で受けられる介護サービスの改悪ということが、今後は起こっていくことになります。

財源に関しての詳細は、過去記事『2025年問題の核心(介護と医療の崩壊)』をお読みください。とにかく、これから、日本の介護(と医療)は、崩壊と言うしかない状況になっていきます。

介護サービスの改悪は、交渉術の基本に沿って、少しずつ進む

相手に都合の悪いことを飲んでもらうしかない場面での「交渉術」の基本は、交渉相手の「分断」と「少数派の狙い撃ち」です。例えば、2015年8月1日から、収入の多い人(上位20%)は、過去には1割だった自己負担部分が2割(2倍)に引き上げられていたりします。

これが、仮に、消費税が2倍に引き上げられるという話であれば、とても通らない話でしょう。しかし、20%の人の自己負担部分についてだと、2倍というのが通ってしまっているのは、不利益をこうむるのが、過半数の人ではないからです。多数決を前提としている民主主義では、少数派の不利益は通りやすいわけです。

今後も、こうした少数派が狙い撃ちされる形で、介護保険で受けられる介護サービスの改悪が進んでいきます。過半数の人は「それでも、自分に不利益が来るよりはよい」と考えるので、改悪でも通りやすいからです。

こうした「交渉術」の背景については、過去記事『介護保険の財源確保における「交渉術」を知っておいたほうがいい。』をお読みください。

介護保険でレンタルできる介護用具が減らされます

このような背景が予想される中、また、介護サービスの改悪が行われることになりました。具体的には、これまでは、要介護2以上であればレンタルが可能だった車いすや介護ベッドが、要介護3以上からということになりそうです。読売新聞の記事(2016年7月20日)より、以下、一部引用します。

厚生労働省は、高齢者が介護保険制度を使って借りられる福祉用具サービスの対象者を見直す方針を固めた。膨らみ続ける社会保障費用を抑えるのが狙い。現在、行われている社会保障審議会で議論を進め、2018年度までに実施に移したい考え。

具体的には、車いすや介護ベッドなどをレンタルできる利用者を、支えがあれば自力で歩行できる「要介護2」以上から、自力での歩行が難しくなる「要介護3」以上に引き上げ、介護の必要性が高い人に絞る案を検討する。

これも、実際に不利益をこうむるのは、要介護2の人だけというところがポイントです。要介護1以下の人や要介護3以上の人にとっては、改悪にはなりません。ピンポイントで、要介護2の人が狙われているので、そこに「分断」が発生し、改悪が容易に通されてしまうのです。

次は、要介護4以上ということになります。しかし、その時は、過去に改悪を受けた要介護2の人は、その改悪に反対しないでしょう。「自分だって、過去に改悪されたのだから、当然だ」と考えるからです。

このままで良いはずはないのです。本質的には、小さな改悪を積み上げて「最悪」を作り上げるのではなく、国の税金の使い方を見直しながら、人工知能の実用化による大失業時代に備えて、ベーシックインカムへの移行を検討しなければならないのです。

※参考文献
・読売新聞, 『介護度合いでレンタル用具見直し…保障費用抑制』, 2016年7月20日

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