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「ケアプラン」の有料化について、あえて賛成の立場から考えてみる

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「ケアプラン」の有料化

国は財政難にあります。そのため、現在は介護保険でカバーされている介護サービスも、どんどん自己負担分が大きくなってきています。

介護業界で、今もっとも大きな反対が起こっているのは、国が進めようとしている「ケアプラン」の有料化です(現在は無料で提供されている)。これが、2018年度の介護報酬改定時に実現される可能性が高いのです。

「ケアプラン」とは、介護全体を俯瞰できる専門家(ケアマネージャー)が、介護が必要になった人のために「なにをするべきか」について、コンサルティングをしてくれた結果として出来上がるものです。これがなければ、介護の難易度は恐ろしく高くなります。

現在、この「ケアプラン」の作成には平均で13,800円かかっています(全額、介護保険からの支出で利用者の負担なし)。これの1割が自己負担となると、利用者は実費として、1,380円は支払うことになります。

これが実現してしまうと、お金がない人は、本来は受けられる介護サービスを知らないまま、負担に押しつぶされることになってしまいます。それでも、国は財政難ですから「ケアプラン」の有料化は、避けられないのかもしれません。

KAIGO LAB編集部としては、全ての介護サービスが、国民の当然の権利として無料で提供されるべきだと考えています。しかし、そのための財源はなく、ただ「無料であるべき!」と叫ぶことに意味はなさそうです。そこで「ケアプラン」の有料化には、ポジティブな面はないのか「あえて」考えてみました。

反対!・・・いや、もしかしたら面白いかも?

「ケアプラン」が有料になると、利用者は自己負担分としてのお金を払う立場になります。お金を払うという意識が生まれると「ケアプラン作成を依頼する業者を選ぶ目」が厳しくなるのは当然でしょう。そこには市場原理が働き、業者間の競争が生まれます。結果として、介護サービスの品質向上につながるかもしれません。

ただ、情報の非対称性(買う側の知識が足りず商品を選ぶ力がないのに対して、売る側は膨大な知識を持っている状況)があるところでは、市場原理が働かないという研究結果もあります。つまり、介護者としては、どの業者が良い「ケアプラン」を提供しているのか、判断できないということです。ここが難しいところです。

お金がない人は、どうすれば良いのでしょう。たとえば、自己負担分が支払えない人のためには、国選弁護人(弁護士を雇えない被告のために国が弁護士料金を負担する)のように、国がその費用を持つといった制度を整備すれば、なんとかなるかもしれません。

また、結果として「ケアプラン」は、介護者の都合ばかりで決まってしまい「要介護者の自立を助ける(介護サービスを無計画に使いすぎない)」という介護の精神は、破壊されてしまう危険性が高まります。結果として「生活不活発病」を誘発してしまう可能性があります。

それでも、ひとつ条件があります

貧困層への対応や、「生活不活発病」への配慮をしながらも、そこに市場原理をうまく働かせれば「ケアプラン」の有料化には良い効果もあるかもしれません(情報の非対称性についての議論は必要です)。

しかし、ここで一番問題になるのは、もはや介護事業者には、財政的な体力などないということです。

市場原理の上で「ケアプラン」の受注競争をした場合、介護事業者には、あらたに大きな営業コストが発生することになります。この費用は、本来、厳しい待遇を飲まされている介護サービス現場にいる人材の給与となるべきお金です。

百歩譲って「ケアプラン」の有料化をよしとした場合でも、それは、介護業界の待遇改善とセットになっているべきです。ここへのメスが入らないままに市場原理だけ働かせようとすれば、介護業界はますます人材難となり、結果として国民が困ることになります。

具体的な提案として

「ケアプラン」を有料化すると、約400億円(2014年度;ケアマネジメント支出4,022億円の1割)が新たに財源として確保できます。これをそのまま、介護サービスの現場にいる人々の待遇改善にあてるのは、どうでしょうか?これくらいでは足りませんが、介護業界の待遇改善に向けたメッセージを示す意味でも、せめて。
 

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