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外国人による訪問介護。どうせなら英会話を楽しみたい!(ニュースを考える)

外国人による訪問介護

外国人による訪問介護が解禁(規制緩和)される見通しです

これまで、特別養護老人ホームなどの介護施設での勤務に限られてきた外国人労働者が、2017年度から、訪問介護でも働けるようになる見通しです。以下、日経新聞の記事(2016年2月20日)より、一部引用します。

厚生労働省は19日、経済連携協定(EPA)に基づいて東南アジアから来日した介護福祉士が訪問介護事業所で働くことを認める方針を決めた。これまでは特別養護老人ホームなどの施設でしか働けなかった。

同省は高齢者の増加をにらみ、なるべく自宅で医療や介護を受けられる体制づくりを急いでいる。外国人人材が訪問サービスを担えるようにして深刻な介護人材不足を少しでも改善したい考え。(中略)

EPAは特定の国どうしで関税撤廃や規制緩和を決める条約で、日本は13カ国1地域との間で発効済み。このうちインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国とは介護職員の受け入れで合意し、08年度から延べ2000人超が来日した。

日本語での会話に不安もあるため、これまでは日本人職員と一緒に働ける施設介護だけで受け入れていた。今後は高齢者の自宅を1人で訪問し、トイレや食事、洗濯の補助をする訪問サービスを担うことを認める。

これは、外国人労働者に対する規制緩和の一つで、この改革では、細かいところでも様々な緩和施策が入ります。日本の介護の現場で、外国人の存在がもっと身近になっていきます。

日本語の問題を、むしろ逆手に取ることはできないか?

外国人による介護には、どうしても言葉の壁があり、効率が落ちるという調査結果(記事)もあります。しかし、むしろこれを逆手にとって「英語で介護を受ける」というサービスは作れないでしょうか。

なお、日本に介護の仕事をしにきてくれる外国人は、フィリピンからの人が最も多くなっています。英語はフィリピンの公用語です。また、近年増えてきたオンライン英会話学校の先生は、その多くがフィリピンの人です。

この提案に対して「なにを、のんきなことを・・・」という意見があることは承知しています。それでも、どうしても外国人の労働力に頼らなければならないという現実があるなら、なにかアイディアを考えてみたかったという背景については、ご理解いただければと思います。

1. 海外旅行に行けなくなった高齢者が語学を楽しむ機会に

今の高齢者は、昔の高齢者とは異なり、ずっとアクティブです。海外出張や海外旅行に行ったことのある人も多いですし、高齢者によっては、仕事で海外に駐在した経験のある人も少なくありません。しかし、要介護状態にもなれば、語学力があっても、それを楽しむ機会も減っているでしょう。

こうした高齢者にとっては、外国人との英語によるコミュニケーションは、刺激になる可能性もあります。こうした刺激は、認知症の予防になるだけではありません。介護をしてくれている外国人の本国についての興味関心も高め、二国間の友好にもつながるでしょう。

もしかしたら、トラベルヘルパーを使って、もういちど外国に行ってみたいという気持ちにもなるかもしれません。こうした可能性は、外国人の訪問介護ならではのものになるでしょう。

2. 介護サービスを受け付けない高齢者の突破口として

高齢者によっては、プライドが高く、他人を自宅に入れることに抵抗をする人もいます。こうした高齢者でも「英語の先生が、生活のお手伝いもしてくれる」という話であれば、受け付けてくれる可能性が高まるかもしれません。

実際に、心身の自由がきかなくなった自分の姿を、家族以外の他人に見せるのは嫌という人は少なくないです。できれば、外向きにはカッコイイ自分でいたいからです。

ですが、英語の家庭教師が「ついでに」生活援助をしてくれるということであれば、このハードルは下がるでしょう。ご近所にも「英会話をしている自分」を見せることができます。

3. 自分の世界を広げる最高のチャンスとして

英語に親しむということは、世界を広げることでもあります。世界の英語人口は、約20億人とも言われます。この英語を使えるようになれば、自分の世界が広がるのは明らかです。

あたり前ですが、文化や考え方の異なる外国人が自宅に来るというだけでも、世界は広がります。英会話学校に通うよりも、ずっと安い値段で、こうしたチャンスが得られるとしたら、むしろ外国人による訪問介護を望む高齢者も出てくると思います。

高齢者になり、介護をされるようにもなれば、世界は確実に狭くなっていきます。こうした流れを逆流させる可能性が、外国人による訪問介護にはあるかもしれないのです。

人間にとって、成長は最高のエンターテインメント!

もちろん、介護の仕事については、日本人だろうと外国人だろうと関係なく、しっかりと学んでもらわないとなりません。また、外国人の登用については、課題が多いのも事実です。そうした課題をきちんと解決していく営みも大切です。

同時に、せっかく外国人に介護をしてもらうなら、それをチャンスにして、日本人も、そこから多くのことを学んでいくべきです。また、家族や親友のところを離れ、慣れない外国で仕事をしている外国人には、敬意をもって接する必要があります。

成長は人間にとって最高のエンターテインメントです。成長なしには、生きていけないほど、それは大事なものです。神話、映画、小説、ゲームの違いなく、人間が楽しいと感じることは、すべて、主人公が困難を乗り越えて成長していくという物語です(ヒーローズジャーニー)。

ワンパターンな成長の物語を、人類史のはじめから現在まで、ずっと必要としてきたのが人間です。介護の中にも、成長を求めていくことは、一般に信じられている以上に大事なことなのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『外国人の訪問介護解禁へ 厚労省、深刻な人材不足で』, 2016年2月20日

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