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被災地における介護事情を、いまいちど考えてみる。

東日本大震災

データからみる被災地の在宅介護生活

東日本大震災から、もうすぐ5年になります。岩手県立大学社会福祉学部が、岩手県の3市において、介護をしている506世帯に対して調査(田中, 2015)を行っています(有効回答率:86.8%:439/506)。調査期間は2013年12月~2014年1月です。

震災直後と比較して、被災地において介護をしている世帯は、世帯人数の縮小(同じ家に暮らす家族の人数が減少)が進みました。おそらく、年老いた両親がありながら、職を得るために自宅を出ていくしかない現役世代が多かったのでしょう。また、就学のために、遠くの学校に行かざるをえない子供もいたのだと思います。

現在の世帯人数は、1世帯3.42人が平均です。年老いた両親とその子供夫婦・・・とまでは行かず、80〜90代の親1人を、年老いた夫婦が介護をしている状況が見えます。実際に介護をしているのは、その8割までが女性です。介護をしている人の平均年齢は、女性62歳、男性は63歳となっています。

大変なのは、被災地にて介護をしている人の回答として、その約6割が、要介護者に認知症状があるとしている点です。世帯が小さくなったにも関わらず、認知症の介護が求められています。このため、毎日、半日以上の長時間介護をしている人が、なんと4割を超えています。

介護を手伝ってくれるような若い世代は、世帯に同居しているケースが少ないのです。被災地での仕事は限られており、遠くに出て、別の場所に世帯を築いていることが多くなっているからです。

介護のプロが入っているのは約半数

そうした辛い状況にも関わらず、介護のプロによる支援を受けているのは、約半数にとどまります。そもそも他人に介護をさせるということが文化的に認められないこともあります。また、被災地では、介護人材の不足が、他の地域よりもずっと深刻なため、介護のプロによる支援を受けたくても、受けられないという現実があります。

当然、レスパイトが受けられることもなく、自らの調子が悪くても、病院にも行けない状況になっています。長時間の介護をしながら、仕事をすることも困難です。

震災直後から大きく変わっているのは「生活にゆとりがある(大変ある、少しある)」としていた世帯が27%だったのが、4%まで落ち込んでいることです。これと同時に「生活が苦しい(大変苦しい、少し苦しい)」とする世帯が40%を超えており、震災直後の33%から上昇してしまっています。

調査の時点で、まだ仮設住宅に暮らしている世帯は、介護をしている世帯全体の25%でした。75%は、仮設住宅ではなく持ち家にいます。しかし25%は、震災によって家と財産を流されたりして、仮設住宅を出られないでいます。

仮設住宅を出るという選択は、認知症のある要介護者を抱えている場合は、困難です。認知症には、環境の変化が御法度だからです。仮設住宅も、そろそろ出なければならない時期になっていますが、ここはおそらく、さらに延長ということになっていくのでしょう。

※参考文献
・田中尚, et al., 『被災地におけるケアラー(家族介護者)支援に関する調査報告 ~被災地域における介護困難の変動に関する研究~』, 2015年12月14日

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