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介護サービスで、調理・買い物などが頼めなくなる(ニュースを考える)

介護サービスの悪化

財源が枯渇してきているための介護サービス悪化

増え続ける高齢者に対して、社会福祉の財源である現役世代が減るという厳しい状況を受けて、日本の社会福祉は悪化していきます。増税や、公務員の総人件費抑制などを行っても、財源は全く足りません。

社会福祉の悪化が避けられないとはいえ、どの部分を悪化させるのかに関しては、慎重であるべきです。読売オンライン(2016年1月20日)によれば、近く、介護保険における生活援助サービスが一部で利用できなくなるようです。

厚生労働省は、介護保険制度で「要介護1、2」と認定された軽度者向けサービスを大幅に見直す方針を固めた。具体的には、調理、買い物といった生活援助サービスを保険の給付対象から外すことを検討する。膨らみ続ける社会保障費を抑えるのが狙いで、抑制額は年約1100億円、約30万人の利用者に影響が出る可能性もある。

生活援助サービスがなくなると、誰がこの援助をやるのか

生活援助サービスがなくなると、それを要介護者がやるようになるのかというと、違うでしょう。そもそも、自分でできないからこそ、頼んでいるわけです。

もちろん、一部には、こうしたサービスを不正に利用している人もいるかもしれません。しかし現実には、要介護1、要介護2といった状況にあれば、生活援助サービスなしで、自分で自分の生活の「全て」を切り盛りすることはできないと思われます。

そうなると、生活援助は、要介護者の家族がすることになるでしょう。しかしそれは、家族の負担が上がるということであり、結果として、介護離職の可能性が高まるということです。本当にこれでよいのでしょうか。

ここから派生することとして(1)無理に調理をやろうとする人が増えることでの火災リスク上昇(2)買い物をネットで行うようになる人が増えることによる地域商店街のネットワーク機能消滅、といったことも考えないとならないでしょう。

社会全体としては、現役世代を応援するような形になっているべき

日本の社会福祉は、賦課方式(現役世代が高齢世代の福祉サービス費用を支払う形式)をとっています。現役世代が働けなくなってしまえば、社会福祉の財源がなくなるという仕組みになっています。

今回の改正のように、現役世代の負担を増すようなことをすれば、仕事をあきらめ、介護に専念する現役世代が出てきます。そうすると、社会福祉の財源がさらに減ります。結果として、介護サービスはさらに悪化し、もっと多くの現役世代が介護離職していくことになります。

社会福祉の悪化は避けられないとはいえ、現役世代の負担を増すところから手をつけるという「順番」については、どうにも納得がいきません。国際的にみて高すぎる地方議員の給与を見直したり、この状況で上がり続ける公務員の給与を見直したりしないと、本当に大変なことになると思っています。

【追記:2016年10月10日】
厚生労働省は、一旦、要介護1〜2の要介護者向けの生活援助を、介護保険の適用範囲として継続する方針を示しました。いつまで継続されるかは不明ですが、ありがたい話です。

※参考文献
・読売オンライン, 『介護保険、調理など軽度者向けサービス見直しへ』, 2016年1月20日
 

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