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年金酒場という活動がある(栃木県・那須塩原)

年金酒場という活動がある(栃木県・那須塩原)

孤独こそ私たちの社会にとって最大の敵である

定年退職をして現役をしりぞいた男性が、その後、人間関係を失ってしまって孤独になるという話は、よく聞きます。もちろん女性にも起こりうることですが、一般論として、女性よりも男性のほうが、新たな人間関係を作るのに苦労をするということはあるのかもしれません。

孤独は、肥満や喫煙よりも健康に悪く、要介護や死亡のリスクを高めるということは、すでにわかっていることです。ですから、そうした孤独にある人を放置しておくと、社会的にも医療や介護のために必要となる公費が高騰してしまいます。

少しでも多くの人が幸福のうちに暮らせる社会は、その維持コストが安くなるわけです。高齢化が進む日本では、そうした社会を目指して、少しでも孤独を減らす工夫が生まれています。それぞれに成功や失敗がありますが、そうした事例に学ぶことは、今後の日本にとって非常に重要なことでしょう。

コミュニケーションが下手な男性に向けた企画

そんな事例の一つとして、年金酒場というモデルが注目を集めています。栃木県では、毎月、年金が振り込まれる日に、ふらりと立ち寄れて、誰かと飲んで語れる酒場が運営されているのです。以下、下野新聞の記事(2018年12月28日)より、一部引用します。

高齢者が気軽に集まれる場にしようと地域住民が運営する、東小屋の「ねんきん酒場」が盛況だ。年金受給者らがアルコールを交えながら交流を深められるのが人気の秘密。「高齢男性の集まれる場がほしい」という声が始まりで、今月1周年を迎えた。現在は市内2カ所、年金支給日を目安に月1回程度開かれるなど定着、拡大しつつある。(中略)

ねんきん酒場は昨年冬、東那須野地区で高齢者の見守り組織がある自治会などの会合で「高齢男性が出られる場がない」という複数の意見をきっかけに開設した。同地区の元公民館長で、開設当初から関わる小泉信三(こいずみしんぞう)さん(63)は「女性はコミュニケーションが上手だが、高齢男性には引きこもりがちな人もいる。『おやじ』が来られる場にしたかった」と話す。(後略)

シャッター街の活用事例としても

飲食業というのは、非常に厳しいビジネス環境にあり、そこそこ顧客がついても、なかなか儲からないものです。そのため、愛されながらも撤退していく飲食店は、毎年、600〜800件と、かなりの数に登ります。

そうした飲食店は、撤退するときに、内装をそのままに残していることもあります。そうして、その後には、誰も入居していない物件は、日本全国にあります。そうした場を、この年金酒場として再利用することは、ありえる話なのではないでしょうか。

とはいえ、それで儲けを出すことは難しいと思われます。ただ、毎月1度だけ、年金が支給される日の夕方から夜までといった決まった時間だけ開けることで、なんとか費用を圧縮すれば、赤字にはならない運営も可能かもしれません。年金酒場は、日本全国での導入を検討すべき事例の一つでしょう。

※参考文献
・下野新聞, 『「ねんきん酒場」 盛況1周年 高齢者が酒酌み交わし気軽に交流 那須塩原』, 2018年12月28日

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